日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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学芸室から 2006.07.12

おもちゃたちの夏季出張・その1 ~日本・モンゴル民族博物館へ~

昨秋に引き続き、日本・モンゴル民族博物館の企画展に出品展示協力することになり、今日の休館日、館長と学芸スタッフが揃って展示作業に出かけていました。

但東町の日本・モンゴル民族博物館外観

日本・モンゴル民族博物館は、モンゴルの民族資料を収蔵展示し、豊かな歴史や文化を広く紹介する博物館で、兵庫県豊岡市但東町にあります。常設展では、モンゴル草原の暮らしと文化に加え、但東町の歴史や民俗文化についても深く取り上げておられます。今回は、夏休みに、より多くの世代の来館者に親しんでいただけるテーマとして、昭和時代を彩った玩具の色々を時代ごとにたどっていく企画展を開きたいと、日本玩具博物館が協力の依頼を受けたのです。タイトルは「おもちゃの昭和史」
 
ちょうど当館でも7月1日に夏の企画展「おもちゃで綴る昭和」をオープンしたばかりです。児童文化運動などが高まりをみせた昭和初期、戦争色が強まる10年代、戦後復興期の20年代、高度経済成長が始まる30年代、マスコミ玩具が主流に躍り出る40年代、玩具のハイテク化が進む50~60年代・・・と、玩具の流行年表を追って私たちが生きてきた昭和時代を振り返る内容で、これは、日本・モンゴル民族博物館での「おもちゃの昭和史」と同じコンセプト。展示品は2館合計して700項目、1200点を超えます。井上館長が「館長室から」で折に触れてご紹介しているように、現在も手を休めることのない系統的な収集活動の成果があってこそ叶えられたボリュームです。

当館では、年度始めの4月より、二つを姉妹展と位置づけて準備をしてきました。両館の話し合いに基づき、コンセプト決まれば、展示ケースにどのようなグルーピングで資料を展示するかを考えます。実際の寸法によって仮の展示スペースを作り、そこに展示台なども置きながら、展示風景をシミュレーションするのです。展示グループのもつ雰囲気から、ケース内の色調を導き、パネルやキャプションのデザインなどを合わせていきます。展示シミュレーションしたものを写真に撮った後、最終出品目録を作成し、一点一点を梱包。展示ケースごとにパッキングして、展示館までの輸送を行います。何かをつくっていくこと、特に多くの人と一緒に行うことは大きな喜びには違いありませんが、展示準備のどのプロセスにおいても、愛情とセンス、細やかな配慮と根気が要求されるので、企画展がいくつも重なり合ったりすると、頭がパンクしそうになったりします。
さて、今朝、モンゴル博に到着すると、すでに展示室はモンゴル博物館のスタッフによって整えられており、さっそく展示作業が始まりました。その様子を少し、画像でご紹介しましょう。

「昭和初期~10年代」「昭和20~30年代前半」「昭和30年代後半~40年代」「昭和50~60年代」の4つのケースごと、章立てフラッグや年表パネルの設置、展示台設置、開梱、シミュレーション写真を参考にしての展示、キャプション設置、駄菓子屋コーナーの飾りつけ等々、モンゴル博スタッフと当館スタッフとの共同作業は非常にスムーズで、夕方6時には予定どおり、準備が終了しました。

協力し合って展示室を整えた私たちの気分そのままにとても楽しく、またわかりやすい展示になったと思います。昭和初期の正チャンやキューピーさん、10年代の大砲やラッパのおもちゃ、20年代の駄菓子屋玩具もちょっとよそ行きの顔で並んでいます。30年代のダッコちゃんも鉄人28号も40年代のウルトラマンもママレンジも、50年代の超合金ロボットも・・・それぞれの時代を代弁するように堂々と座っています。
この夏は、懐かしい子ども時代を訪ねて、日本・モンゴル民族博物館の「おもちゃの昭和史」(7月13日~10月3日)へ、もちろん、日本玩具博物館の夏の企画展「おもちゃで綴る昭和」(7月1日~9月5日)へもぜひ、ご来場下さい。
日本・モンゴル民族博物館のURL http://www3.city.toyooka.lg.jp/monpaku/index.html

(学芸員・尾崎織女)




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