「おもちゃの昭和史」 | 日本玩具博物館

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企画展

夏の企画展 「おもちゃの昭和史」

会期
2003年6月28日(土) 2003年9月9日(火)
会場
1号館

1926年、大正デモクラシーの余韻をうけ、自由主義的な雰囲気をもって始まった昭和時代は、大きな戦争と焼け跡からの復興、そして高度経済成長をとげた激動の64年間でした。

いつも子どもたちの傍らにある玩具は、小さなものでありながら、色や形、あるいは材料やテーマにも時代の精神がふんだんに表現されているため、これらを通して、私たちは昭和時代をふりかえることができます。

おもちゃの昭和時代は、家内工業的に手作りされる玩具が表舞台から退き、工場で大量生産される近代玩具が日本中に流通して、地方色が失われていった時代です。昭和20年代後半頃からプラスチックという新材料玩具が、すでに明治・大正時代に登場していたブリキやセルロイド製をしのいで主流となり、昭和30年代にはテレビの影響でマスコミ玩具が登場して今日への流れをつくりました。

本展では、昭和時代を彩った玩具500点を年代ごとに展示し、時代の移り変わりと子どもにとっての玩具の役割を探ります。また、メンコやコマ、おまけなど、時をこえて愛される玩具についても紹介します。ハイテク時代と言われる今日、次代に伝えたい玩具の姿を考える機会となれば幸いです。

展示総数 約500点


<大正末~昭和初期―デモクラシーの余韻―>
大正時代の終わりは、日本中にデモクラシーの風潮が高まり、児童文化にも大きな関心が寄せられた時代です。子どもの心を育てる道具として玩具を位置付ける考え方が強調され、玩具の中に情操の豊かさが求められました。
その余韻が続く昭和初期の玩具は、動物ぐるまや人形などに見られるように、詩情の豊かさが特徴的です。素材的にはキューピー人形などのセルロイド製玩具が一世を風靡しました。


<昭和10年代―戦争の嵐のなかで―>

昭和6年の満州事変から、やがて日中戦争、太平洋戦争へと、日本中が戦争一色になったこの時代の玩具には、鉄かぶとにサーベル、大砲、戦車、軍艦の玩具、愛国カルタやコクボウ双六など軍国調のものが数多く見られます。戦争が激しくなるにつれ、玩具の素材は厳しく統制され、やがて金属製の玩具は作られなくなりました。
一方、昭和初期から10年代にかけては駄菓子屋玩具の全盛期です。グライダー、活動写真、竹トンボ、ベーゴマ、ピョンピョン駒などの小物玩具が勢揃いした駄菓子屋の店先は、子どもたちの楽しい社交の場となっていました。


<昭和20~30年代前半―廃墟からの復興―>

戦後の日本、まだまだ生活は苦しいけれど、焼け跡から子どもの歓声があがります。ターザンごっこや西部劇ごっこ、野球ごっこなどに興ずる子どもたちの間で、ブロマイド、日光写真、写し絵、着せ替え、針金細工などの人気を博します。占領下の日本では、輸出玩具に「made in occupied Japan」と明記することが義務づけられ、安価な日本製玩具が続々とアメリカへ送られていました。
昭和20年代の終わりには、玩具の新素材としてプラスチックが登場し、以降、玩具の材料の主流となっています。


<昭和30年代後半~40年代―高度経済成長時代―>

家庭用電化製品の様々が家庭になだれ込んだ時代。昭和28年放映開始のテレビは、34年の皇太子成婚をきっかけに大普及。テレビは、子どもたちの生活にも大きな影響を及ぼし始め、やがてテレビキャラクターをテーマにしたものが商品玩具の主流を占めるようになります。鉄人28号、鉄腕アトム、ウルトラマン、オバケのQ太郎、仮面ライダーなどのマスコミ玩具がこの時代を代表しています。
日本経済の発展の中で、古い生活様式は急速に失われ、空き地が減り、子どもたちの塾通いも始まります。子ども世界が伝承してきた「原っぱ文化」の崩壊が社会問題となりました。


<昭和50~60年代―ハイテク時代―>
家電製品にコンピューターが利用され、暮らしのハイテク化が進むにつれ、玩具の世界にも影響を及ぼし始めます、昭和50年代にテレビゲームが発売されて人気をさらい、さらに58年にはファミリーコンピューターが登場して、子どもの世界にテレビゲームが定着していきます。
一方、宇宙戦艦ヤマト、機動戦士ガンダム、アラレちゃん、キン肉マンなどのマスコミ玩具は、相変わらずの人気を博し続けました。


おまけのおもちゃ
「おまけ」は、グリコやカバヤキャラメルについてくる小さな玩具。大正12年のカードに始まり、昭和初期には銅製メダル、アンチモニー製の戦争に関するものなどが作られました。昭和25年には郷土玩具から学んだ木や紙製の素朴なものも目立ちますが、昭和30年代になると、ブリキやプラスチック製の乗り物や動物、家庭用品などが作られ、子どもに夢を与えました。


メンコのいろいろ
江戸時代の泥製メンコや明治時代の鉛板製メンコを経て、明治後期には、紙製メンコが出現します。絵柄を見ていくと、明治・大正時代の武者や力士、昭和初期の軍人などを経て、戦後は漫画本やテレビ番組のキャラクターが多く登場してきます。子どもたちが憧れ、親しんだヒーローたちの移り変わりをご覧下さい。


<展示解説会>
来館者のご希望によって、展示解説会を開催し、展示中のおもちゃを動かしながら、お話をいたしました。


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前の企画展 → 春の企画展*2003「世界のままごと遊び」
同時開催のテーマ展 → 夏のテーマ展*2003「七夕飾り」
次の企画展 → 秋の企画展*2003「世界 汽車のおもちゃめぐり」