日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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学芸室から 2019.05.18

遊びの思い出教えてください

あっという間に5月も半月が過ぎ、青々とした緑が気持ちいい季節になりました。超大型ゴールデンウィークには、玩具博物館は、連日多くの来館者がお越しくださり、とても賑やかな日々でした。来館者のみなさんが、展示室、おもちゃ作り、遊びのコーナー、らんぷの家やテラスでの語らい、中庭の散策と、館内を思い思いに過ごされている様子を見ると、博物館施設が持つ可能性についても考えさせられます。たくさんの方にご参加いただいたゴールデンウィークのおもちゃづくりの様子は、別途ご紹介していますので、よろしければご覧ください。

さて、令和元年がはじまりました。4月30日の様子をニュースで拝見して、カウントダウンやら年越しそばやら、大晦日並みのたいへんな盛り上がりに驚きました。令和時代への期待が感じられる中、当館1号館の企画展「平成おもちゃ文化史」では、過ぎ去った平成時代の流行玩具の移り変りをご覧いただいています。

小中学生の子どもさんと来館されるご家族の中には、例えば、昭和50~60年代のコーナーと平成10~20年代のコーナーを行き来しながら、ドレッサーやクッキング・トイの変化を見て、買い物や料理の相談が始まったり、ロボット玩具のギミック(各部品の仕組み)について親子談義が開催されたりと微笑ましい観覧の様子に嬉しくなります。プレイコーナーでの遊びやおもちゃづくりでも見守るというよりも一緒に作る・体験するというご家族が多いように感じます。親の世代が自分の子ども時代やそこから続く自分自身の趣味趣向と向き合いながら、親子で同じ玩具趣味を持ったり子どもと同じ目線で接しながら友達のような親子観がでてきたのも平成の特徴ではないでしょうか。とくに平成時代の人気玩具は、その時々の流行デザインや技術が組み込まれてリニューアルされたり、昭和の人気キャラクターが現代版として再登場したものも多く、自分たちが遊んでいた玩具への懐かしさと、進化に新鮮な気持ちで楽しむようになるのはある意味自然な感覚のような気もします。さらにそこには、玩具が子ども世界のものから大人の趣味や癒しのアイテムとしての価値観が受け入れられてきた平成時代も浮かび上がります。

先日、平成の駄菓子屋玩具コーナーを楽しんでいらっしゃった60代のおばさま方とビー玉遊びの話で盛り上がりました。おはじきを見て思い出されたそうなのですが、遊び方は、土にビー玉が入る穴をあけて相手のビー玉を除けたり、飛ばしたりしながら、先に穴に入れたほうが勝ちというシンプルな遊びです。盛り上がったのはビー玉の弾き方です。わたしと一人のおばさまが同じ弾き方をしていたそうなのです。右利きの場合、左手の小指を地面に立てて、左手の親指と右手の小指を繋いで、右手の親指でビー玉を弾きます。この左手が疑問で、なんの効果がある  んやと思いつつも、子ども心に妙にかっこいいと思っていたような気もします。するとおばさまも全く同じ疑問を持っていたそうで、おばさまもわたしもそれまで全く忘れていたビー玉遊びと、謎の弾き方に笑ってしまいました。世代や地域差を超えて、子ども時代の感覚を共有できた興味深いひとときでした。
 

また今も駄菓子屋さんで売られているチェインリング。カラフルなプラスチックの輪が連なったものです。平成生まれのわたしは、これをつなげてネックレスにしたり指輪にしたり、ブレスレットにしたりと遊んでいたのですが、他のスタッフはお手玉にして、放り投げてはひとつ拾う、ふたつ拾うと遊んでいたようで、これはこれで同じ玩具でも世代間での遊び方の違いが面白いですよね。同じ遊びでも呼び方が異なったり、地域ルールがあったり、子どもたちがのめりこむ遊びの世界の楽しみは子どもの数だけあるのではないでしょうか。 

平成生まれの原田、小さいころ。チェインリングの首飾りをかけて。

そこで、玩具博物館で引き起こされたみなさまの思い出を教えていただけたらと思い、簡単な質問票を作りました。来館者の好きなおもちゃ、または思い出のおもちゃについて、名前、遊び方、遊んだ年齢、今の年齢という項目を設けています。現在進行形の子どもたちの遊び、海外の方から先の話のような、同じ玩具でも遊び方の変化や世代間での流行りも見えてくるのではないかと思っています。
こちらが質問票です。みなさま自身の玩具、遊びの話お待ちしております。

(学芸員・原田悠里)

            

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