冬至、クリスマスアドベント第4主日、そしてハヌカー | 日本玩具博物館

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学芸室から 2019.12.23

冬至、クリスマスアドベント第4主日、そしてハヌカー

昨日、12月22日は冬至でしたね。皆さんは柚子湯につかって温まり、無病息災を願われたでしょうか。今年、この日はキリスト教暦のクリスマス・アドベント第4主日に当たり、またユダヤ教ではハヌカー(Hanukah)のお祭りの日でした(移動祝日ですので年によって変わります)。ハヌカーは、異教徒によって汚された神殿の清めるための祭りが起源ともいわれ、”光の祭り”の名でも知られています。

ユダヤの子どもたちには、ハヌカーのお祭りに「ドレイドル(Dreidel)」というルーレットごまが贈られます。こまの4面に、イディシ(おもに東欧に住んだユダヤ人の共通語)で「נ ヌンnun:無(何ももらえない)」「ג ギメルgimel:全部(ぜんぶもらえる)」「ה へーhe:半分(半分だけとれる)」「ש シンshin:賭(賭ける品をもう一つ出す)」を表す言葉の頭文字が書かれていて、子どもたちは、ドレイドルを回して出た文字によってコイン型チョコレートチップをもらったり、差し出したりして遊びます。さらにこれら「נ」「ג」「ה」「ש」のヘブライ文字は、「そこに」「偉大な」「奇蹟が」「起こった」というユダヤの人々にとって意味のある文章の頭文字を象徴しているため、この遊びがハヌカーにつきものとなったそうです。子どもたちがドレイドルで遊んでいる様子は、アイザック・B・シンガー(ポーランド出身のユダヤ系アメリカ人で1978年、ノーベル文学賞を受賞した作家)の短篇小説『やぎと少年』の中でも語られているので、ぜひ、読んでいただきたく思います。これはユダヤの少年と賢いヤギの物語で、心に深い余韻が残ります。

アイザック・B・シンガーの短篇小説『やぎと少年』


日本玩具博物館が所蔵するドレイドルはイスラエルからの来館者、それからエルサレム在住の玩具デザイナー、Shlomi Eigerさんより贈られたもので、4号館の常設展示でご紹介しています。ご来館の折には、ぜひ、ご覧くださいませ。

Shlomi Eiger氏より贈られたドレイドル

北半球においては太陽の日照時間がもっても短くなる冬至。今年はこの同じ暦日に異なる祭事が行われているのですね。―――それは全く違うけれど、光を待ち望み、来る日々の幸福を祈る心はつながっているのだと感じます。

(学芸員・尾崎織女)

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