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学芸室から 2019.12.24

クリスマスカレンダー*12月22日―太陽の再生を願う&12月24日―クリスマスツリーを飾る

クリスマスまでの最後の日曜日(第4主日)がすぎ、アドベントキャンドルは4つすべてに光が灯されました。もうクリスマスまはすぐそこです。今年も6号館クリスマス展会場で、倉主真奈さんによる絵本の朗読会が行われました。朗読会の様子は前の記事で尾崎学芸員が紹介していますので、そちらもどうぞご覧ください。

太陽を元気づけるための光の造形と、キャンドルをご紹介

クリスマスの光

第4主日の12月22日は冬至でした。北半球では陽がもっとも短い日です。22日の姫路の日の出は午前7時、日の入りが午後5時でした。日差しが恋しくサンタクロースが暮らす町として知られているフィンランドのロバニエミは日の出が午前11時、日の入りが午後1時半。日照時間は2時間ちょっと!雪も降るでしょうし、太陽は雲のむこうにとお~くひく~く出ているのでしょうね。

古代ヨーロッパの人々はこの冬至の日を太陽が生まれ変わる日として、冬至祭を行っていました。冬至に向かって力を弱めていく太陽をはげますため、火を燃やし、星や太陽など光を象徴するモチーフを飾っていました。太陽の誕生日とこの世の光とされたキリストの誕生日が融合し、キャンドルや光のモチーフは、クリスマス飾りにも引き継がれていきます。

ヨーロッパ各地に見られる光のモチーフの多くは麦わら細工で作られています。主食として欠かせない麦を育てるのは太陽であり、 麦穂には穀物の精霊も宿っているとも言われているので、1年の収穫に感謝するとともに翌年の豊かな実りも造形に込められているようです。冬至を過ぎた太陽はまた、一日一日、光を増し、 夏至に向かっていくのですね。

スウェーデンの麦わら細工の太陽
キリストの十字と麦穂と太陽という3つの冬の祭礼が溶け合ったシンボリックな壁飾り

  

ツリーを飾ろう

🕯 麦わら細工の光のオーナメントの他、クリスマスツリーに 町の中やお店では早いところは11月から、クリスマスツリーが飾られたりしますが、ヨーロッパの多くの家庭ではクリスマスツリーに飾りつけをするのは、23日あるいは24日です。モミの木市で買ってきた生木のモミやドイツトウヒを、倉庫やベランダで保管し、クリスマスの前の日に飾ります。 ツリーを飾るのは大人です。こどもたちに見つからないようにこっそりと飾ります。そしてツリーの下にプレゼントが置かれ、クリスマスの当日に子ども達にお披露目されるのです。

🕯 クリスマスに常緑樹を飾り、オーナメントを飾るようになったのは、 古来の樹木信仰から発展していったと考えられ 、17世紀のアルザス地方 (当時はドイツ) と言われています。初期のころのツリーにはクッキーやお菓子、りんご木の実をなど食物が吊るされていたようです。豊かな実りの象徴だったのでしょうね。今もヨーロッパ各地のツリーには、手工芸品とともに自然素材のオーナメントが飾られます。

チェコのパン細工でできたツリー飾り

🕯 キャンドルやクリスマスツリー、クリスマスを彩る造形に少し思いを巡らせながら、素敵なイブをお過ごしください。

(学芸員・原田悠里)

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