日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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学芸室から 2006.10.12

<新収蔵品紹介>ウクライナの民芸玩具

ウクライナは、旧ソビエト連邦の共和国で、南に黒海、東にロシア、西にハンガリーやルーマニア、スロバキア、ポーランドなどの東ヨーロッパの国々と接するスラブの国家です。旧ソ連時代は、音楽芸術やスポーツ方面にも大きな役割を果たしてきました。首都はキエフ。1991年のソ連解体によって独立国家となりましたが、北にチェルノブイリを抱える国でもあり、まだまだ経済的には不安定で、多くの国際的な援助を必要としています。

今夏、発展途上の国々を支援し、日本との友好を図ることを目的に活動している団体の方を通して、ウクライナの玩具、約50点を入手しました。内容は、素焼き彩色の風俗人形、出土品をモチーフに作られた創作的な土人形、家畜を題材にした土笛、白樺で作られた木製玩具、麦わら細工のクリスマスオーナメントです。
当館は、既に1970~80年、旧ソ連時代に作られたコーソフ地方の馬笛や騎馬笛、白樺製玩具など、民族色豊かな伝承玩具を収蔵していますが、それらに比べて、今回の資料には現代的なセンスが加わっています。特に風俗人形のデフォルメされた表情には、アニメーションのキャラクターにも通じる現代的な遊び心があります。

コソフ地方の山羊笛 (旧ソ連時代1970~80年代) /素焼き彩色の風俗人形(2000年代)/山羊と馬の土笛(2000年代/オポーシュニャ地方か)/白樺製の馬車(2000年代)  

一方、山羊やライオン、馬、豚、猫などを題材に手ひねりで作られた土笛が面白く、その造形からオポーシュ二ャ地方の伝承をひくものと思われます。また、馬車、家鴨車、カタカタ、ぶんぶん独楽、パズル、うなり木、復活祭の玉子など、白樺で作られた木製玩具の素朴さや、細部の文様などには、ウクライナの民族色がしっかりと残されています。
今回入手した玩具50点は、2000年代のウクライナを伝える資料といえるでしょう。動物のおもちゃ展や発音玩具展をはじめ、様々な展示の機会にご紹介してまいります。

(学芸員・尾崎織女)


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