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学芸室から 2016.02.18

2016年の雛まつり ~京阪の雛飾り~

ひと雨ごとに春らしさを増す昨今、いかがお過ごしでしょうか。例年よりずいぶん早く満開を迎えた椿花の庭にはメジロたちが日々、かわいい姿をみせてくれています。

椿の花の花粉をたくさんつけたメジロ

展示室では春恒例の特別展「雛まつり」が始まり、6号館もランプの家も連日、雛見にいらした方々を賑やかにお迎えしています。本年のテーマは「京阪の雛飾り」―――江戸時代後期の京生まれの雛を江戸生まれの雛を対比して展示するゾーン、明治・大正時代に京阪神で愛された御殿飾りの様式と「雛の勝手道具」などを紹介するゾーンで構成しています。

今春は新収蔵品をふくめ、大正時代の豪華な御殿飾りをずらりと並べて展示しています。横幅が一間もあるヒノキの御殿の緻密に葺かれた檜皮の屋根、飾り金具の文様も美しい欄干や階、一体一体表情の異なる艶々とした人形・・・・・、それぞれの専門職人が思いの限りを尽くして製作に当たったことを伺わせる雛飾り―――これらが京阪神地方の裕福な家庭で熱心に飾られるようになる年代は、当館の所蔵品、そして各地の博物館や旧家の所蔵品を集めて考えるに、大正時代中期から後期頃ではないでしょうか。

第一次世界大戦(1917~18)において、戦場となったヨーロッパが経済的にも大打撃を受ける中、主戦場外にあった日本においては商品輸出が急増し、空前の好景気が訪れます。“大正バブル”と呼ばれるこの好景気は、大正4(1915)年頃から始まり、大正9(1920)年頃まで続きました。小さな家が一軒建つほどの金額をかけた豪壮な御殿、特注によって裏表の家紋を入れた雛道具、持ち主の名字があちらこちらに書かれた勝手道具・・・・・・町家層がもつ雛飾りにあってこのようなことを可能にしたのは、この大戦景気と関係がありそうです。またこの時代、賃金労働の拡大によって都市部への人口集中が始まります。そんな住宅事情を反映して、小型で簡素な雛飾りが庶民層に人気を博していくのも大正時代。―――雛飾りの文化も世情と連動していること、非常に興味深く思われます。

大正時代の檜皮葺き御殿飾り雛と雛料理の器
かつて京阪神の桃の節句に親しまれた白木の勝手道具

今春の展示解説会では、雛飾りの変遷を追うと同時に、御殿や雛道具のディテールを取り出してご覧いただこうと思っています。次の日時―――2月21日(日)・3月6日(日)・3月20日(日) ・4月3日(日) ※各回14時30分~―――展示室へお集まり下さいませ。(尾崎織女)

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