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館長室から 2016.03.08

企画展「ちりめん細工とつるし飾り」が好評です

庭には早春に咲くユキワリイチゲの白い花が咲き、マンサクや椿の木々の花も咲いて春の訪れを告げています。4号館北のサクランボ、東の利休梅、西の花桃のつぼみも大きくふくらみ、間もなく春爛漫の季節を迎えます。

椿の花に彩られた6号館への小径

6号館の特別展「雛まつり」に続き、1号館では企画展「ちりめん細工とつるし飾り」が先月27日から始まりました。当館でしか見ることができない資料が展示されていることから連日、遠方からも大勢ご来館下さいます。

ちりめん細工展は昨年春の6号館の特別展に引き続いての開催ですが、展示内容はつるし飾りに重きをおいた展示です。この度、出版された『基礎からわかるちりめん細工のつるし飾り』に掲載された作品を中心に、これまでに日本ヴォーグ社から出版された『ちりめん細工つるし飾りの基礎』と『ちりめん細工つるし飾りの基礎2』に掲載されたつるし飾りと傘飾りなどが一堂に並び、ボリューム感あふれた華やかな展示になりました。大勢の皆様から、「思っていた以上に素晴らしい展示内容で、遠方からわざわざ来た甲斐があった。」と喜びの言葉を再三いただきます。

桃の節句のちりめん細工

入館者数は20年ほど前から減り続け、年間6万人あった入館者は2013年には2万人を割るほどになっていましたが、その後、一昨年・昨年と増え続けて、年間入館者数は昨年2万3千人になり、回復の兆しが見えてきました。


雛人形展はこのところ地域おこしと連動して、各地で雛めぐりが盛んにおこなわれるようになりました。来館された方からは、「ひな人形展を各地によく見に行きますが、この館の雛人形の展示は別格ですね。こんな素晴らしい雛人形展は初めてです。」と嬉しいお言葉をよく賜ります。江戸時代の雛人形が何組もずらりと並び、明治期からの御殿飾りが11組も見ることができるのは全国でも珍しいと思います。また例年同じものが展示されるのではなく、今年度も初公開の御殿飾りが4組展示されていますが、そのうちの1組は京都の大木平蔵作の明治後期に作られた豪華な御殿飾りです。江戸時代から続いた神戸の灘の造り酒屋で飾られていたものです。縁あって昨秋、ご寄贈いただきました。

神戸の灘の造り酒屋旧蔵の御殿飾り雛

昨春には依頼を受けて、東京の目黒雅叙園での「百段雛まつり」展に当館所蔵の雛人形を貸し出しましたが、ご覧になった群馬の方が先日、遠路ご来館下さり、「本当に来てよかった。」と喜びのお言葉をいただきました。数日前にも「館長さんですね!」とお声をかけてくださる方があり、「大阪の吹田からこの20年間、車を運転して雛人形とクリスマス展を毎年欠かさず見に来ていました。高齢になり来年からは無理と思います。長い間楽しませていただきありがとうございました。」とお土産まで頂きました。そのお言葉に胸が熱くなりました。

さらに先月、イギリスのケンブリッジ大学にお勤めの日本女性が来館され、帰国後メールをいただきました。「展示は美しく、深く、わかりやすく、そして楽しく、隅から隅まで心を奪われました。これから何十年、何百年と残していただきたい博物館です。貴館が復活されたちりめん細工が日本から世界へと広く知られるようになりますことを熱望しております。」さらにちりめん細工の英語版の出版も提案下さり、話が進みそうです。私もかねてから日本女性の手の技と美意識とを広く海外の皆様にも知っていただきたいと考えていました。嬉しい話に喜んでいます。

(館長・井上重義)

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