ブログ
blog夏の展示準備あれこれ
●「トライやるウィーク」の中学生たちと
*6号館では、6月18日から「神戸人形と世界のからくり玩具展」が始まりした。6月第一週目に展示作業を行ったのですが、ちょうどその時期、姫路市域は「トライやるウィーク」という中学2年生の社会体験プログラムが実施されており、玩具博物館がお引き受けした姫路市立香寺中学校の二人の生徒さんたちにも玩具の出展作業や展示品目録作成の仕事をお手伝いいただきました。最初、とても緊張した面持ちの二人でしたが、動きの楽しい玩具が次々に繰り出してくるものだから、とびきりの笑顔で作業に当たることができました。展示作業は博物館の核となる仕事でありながら、その舞台裏は知られていないため、とても興味深かった…と後で丁寧なお便りを頂戴しました。
*若くかわいい二人が梱包箱から一生懸命に出してくれた世界各地の仕掛け玩具は、緑の明るいクロスの上にずらりと並びました。
*その展示室は、久しぶりに“おもちゃ館”らしい楽しさにあふれています。ただ、今回、神戸人形も世界のからくり玩具も、動いてこそ魅力があふれます。展示ケースの中でじっと静止したままでは、その楽しさがなかなか伝わりにくいので、動く様子をご覧いただける展示解説会を多く持ちたいと思っています。お知らせしている日時以外でも、まとまった人数でのご来館であれば、できる限り、小解説会を開きますので、受付でお声をおかけ下さい。
*西室では、「車とクランクの仕掛けおもちゃ」「仕掛けのつまったおもしろおもちゃ」「オモリと糸の仕掛けおもちゃ」「糸仕掛けのおもちしろおもちゃ」「物が移動するおもしろおもちゃ」の5項目で、仕掛けの種類別におもちゃを集めて展示していますが、それぞれの展示ケースの前に手にとって動かしていただけるよう代表選手を置いていますので、それら で遊びながら展示品を見ていただくと仕掛けがよくご理解いただけるかなと 思います。東室の「神戸人形」展では、台箱を引き出し式に開けると、中の仕掛けが見える大型の神戸人形(西瓜喰いと酒飲み)2体を置いていますので、動かしながら仕組みを観察して下さい。
●神戸人形の展示用動画制作
*さて、神戸市内で平成の神戸人形製作に取り組んでおられるウズモリ屋・吉田太郎さんとその神戸人形のことは、≪今月のおもちゃ・2016年6月号≫でもご紹介しておりますが、その吉田さんが神戸人形の動きの面白さがご来館者に伝わるようにと、動画制作を買って出て下さいました。休館日にあたる今日、吉田さんはご夫妻でご来館の上、野口百鬼堂製をはじめとする明治時代の神戸人形群、大正から昭和時代初期の小田 太四郎製の神戸人形群、さらに昭和40~50年代の数岡雅敦製の神戸人形群、それぞれの中からいくつかの代表選手を選んで、その動きを記録して下さいました。
*夏休みまでには、各時代の展示品を動画と合わせてご覧いただけるようになりますので、どうか楽しみにご来館下さいませ。すでに、ウズモリ屋・吉田太郎さんの神戸人形群は動画とともに展示しており、非常に好評です!
●世界の仮面と祭りのおもちゃ展の準備中
*来る7月2日からは、1号館で「世界の仮面と祭りのおもちゃ展」も始まります。今日の休館日、収蔵庫や展示室内のあちらこちらの収蔵スペースに収めている世界の仮面たちを大集合させました。
*梱包ケースからすべての仮面を出して梱包を解き、コンディションチェックを行います。そのあとは、展示スペースの関係で、コレクション全体の三分の一ほどにしぼって展示品を選定していくのですが、それがなかなか大変です! どれもこれも魅力的な資料なので、どれもこれも見ていただきたくなるからです。中国、韓国、タイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、インドネシア、ネパール、インド、ブータン………とアジア地域からはじめて、コートジボアール、カメルーン、ナイジェリア、ケニア、タンザニア、ジンバブエ……と、アフリカ地域に入り、ヨーロッパ地域から大西洋を渡って、メキシコ、グアテマラ、パナマ、キューバ、ペルー、ブラジル……と中南米地域に遊び、太平洋の島々を経由して日本へ――――。休館日一日で、仮面の世界一周旅行をしてきたような気分です。
*顔、顔、顔、顔………。人間の想像力にあふれた形、表現力の強い色彩、豊か過ぎる仮面の民族造形を一堂に集めた1号館の展示もまたとても楽しいものになると思いますので、どうか、夏の日本玩具博物館の展示にご期待下さいませ。
(学芸員・尾崎織女)
バックナンバー
年度別のブログ一覧をご覧いただけます。