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blog日本玩具博物館の展示解説会
展示解説会は小劇場のよう…。
●クリスマス・アドベント(待降節)も第四週に入り、12月4日にお皿にまいた「バルバラの麦」が背を伸ばし始めました。
●世界のクリスマス展会場では、今年も土日などを中心に展示解説会を開いています。先日は、ルーマニア出身の若いご夫妻がご参加下さっていたので、ルーマニアのクリスマスの祝い方を時折、お訊ねしながらお話を進めました。12月6日、彼らの町にプレゼントを運ぶのは「聖ニコラエ」ですが、イブの夜にもサンタクロースに当たる人物「モシェ・クラウチン(=ミスター・クリスマス)」が子どもたちを訪問するそうです。
●ドイツでは聖ニコラウスと「ヴァイナッハマン(=ミスター・クリスマス)」、スウェーデンなどではトムテやユーレボックと「ユーレマン(=ミスター・クリスマス)」―――ヨーロッパの国々には、伝統の贈り物配達人に加えて、アメリカ合衆国型サンタクロースの影響を受けたミスター・クリスマスがやってくるというわけなのですね。各国のクリスマス飾りの中にもその両方の姿が見られます。
●これまで、季節の特別展の会期には、平均5~6回、多い時には15回ほどの展示解説会を行ってきましたが、それぞれの会ごと、参加の皆さんにお話をしてもらいながら、その日、その時、たまたま参集された方々とともに、同じ展示品、同じ話題を囲んで、ともに楽しめる、その時限りのコミュニティのようなものが出来上がった時には本当にうれしく思います。学芸員にとって、展示解説会は来館者と一緒につくる小劇場にも似た楽しみがあると思うのです。
神戸開港150年記念展に向けての準備が進む
●そんないつもの12月を過ごしながら、神戸開港150年を記念するデザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)での企画展「TOY&DOLL COLLECTION」の準備も進めています。会場工事の方は、造作のご担当業者の皆さんが完成図のイメージに向かって、着々と内装を進めて下さっています。ギャラリー空間をリノベーションして玩具たちが暮らすいくつかの部屋をつくっていくという感じでしょうか。
●館内ではスタッフたちと展示ケース内の展示台作りに勤しんでいます。これらを使うことでケース内空間にリズムと立体感が生まれるし、展示物をケアする場合においても、私たちの玩具展示にはこれらのやわらかい台が必要です。展示コーナーごとに彩りを設定していますので、展示台もそれに合わせて、草色、黄緑色、水色、黒色、金茶色、灰梅色……と色を揃えて、オープン時だけで500個を作ります。実はこの展示台はすべて菓子箱を包んだもの。様々な大きさの菓子箱を整形しクロスを切って貼り付けていきます。
●こうした地道な作業にも心を籠めることで、展示空間は温かいものになると思うのです。
● KIITOでの展示は年明けて2017年1月25日オープン。どうぞご期待下さいませ。
(学芸員・尾崎織女)
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