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手作りのクリスマスオーナメント*その1―木の実を使って
●ヨーロッパの人々は紀元前の大昔から森の恵みを受けて暮らしてきました。特にハシバミやミズナラなどが落とす木の実は、数千年の長きに亘って貴重な栄養源だったといわれています。クリスマス前夜、炉でそうした樹木の丸太を燃やす行為には、一年の収穫を感謝する心が込められていました。パチパチと音を立てて飛び出す火の粉に樹木の精霊が宿ると信じられ、暖炉に残された灰が新年に芽生える生命の源として畑にまかれたり、煤や炭が治療薬として使用されたりもしたようです。
●炉で薪や丸太を燃やす風習は中世のドイツが発祥とされ、フランスやイタリア、バルカン半島の国々、北欧諸国でも独自の習慣が伝わっています。フランスの「ビュッシュ・ド・ノエル(クリスマスの薪)」や北欧の「ユール・ログ(冬至祭の丸太)」などのクリスマスケーキの形にも受け継がれ、また、木の実を用いたクリスマスオーナメントが盛んに用いられることのなかには、ヨーロッパの人々の樹木への深い愛着が表現されています。
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●さて、毎年、「世界のクリスマス展」に展示中のオーナメントの中から、いくつかを選び、それらの意味を考えながら、手作りしてみるワークショップを開催してきました。ご要望によって、今年は木の実を使ったオーナメントを取り上げようと準備をしておりましたが、新型コロナ感染症が急速に拡大している時期であることから、残念ですが、計画しないことにいたしました。そこで、こちらのページで簡単にご紹介いたします。
●木の実のなかで、マツカサを使ったオーナメントは、2017年にも一度、とりあげました。マツカサは、人々が食べる木の実というわけではありませんが、形の美しさ、面白さを生かして、フィンランドやドイツ、ハンガリーなどではかわいらしいオーナメントが作られています。
*マツカサのトントゥ(フィンランド) *マツカサのトントゥ(フィンランド) *マツカサのトントゥ(フィンランド) *マツカサの妖精(ハンガリー) *マツカサの妖精(ドイツ)
🍂マツカサの妖精を作りましょう
●マツカサなど拾い集め、ヨーロッパのオーナメントを参考にして、小さな妖精のツリー飾りを作ってみましょう。
◇準備するもの…マツカサ(5㎝程度の小さなもの)・ウッドビーズ(14㎜程度)・
紙粘土少々・爪楊枝・フェルト布(赤)・毛糸少々・赤い木綿色少々・
細いリボン
◇道具…錐あるいは千枚通し・木工用ボンド・ハサミ・縫い針
●作り方
❶ マツカサをきれいに洗って乾燥させます。マツカサの生り口の中心に錐や千枚通しで穴をあけます(ウッドビーズの頭部を差し込むため)。
❷ ウッドビーズの紐遠し穴に紙粘土を詰め、そこに爪楊枝を差し込んで人形の頭と首を作って乾燥させます。
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❸ ウッドビーズの頭部に合わせて赤いフェルトで帽子を縫います。
❹ 高さ1㎝ほど、2~3本の毛糸を束ね、妖精の前髪を作って木工用ボンドで額に貼り、そのあと、赤いフェルト帽の中に木工用ボンドをつけて妖精の頭にかぶらせます。
❺ ウッドビーズ(頭)の下部から出した爪楊枝(首)に木工用ボンドをつけ、マツカサの中心にあけた穴に刺し入れます。
❻ マツカサにしっかり頭が着いたら、首元を細いリボンで飾り、妖精の目を入れます。赤いフェルト帽の先につるし糸をつけて完成です。
●マツカサだけでなく、モミジバフウの実やコウヨウザンの実、ヒマラヤスギの実などを使っても、また雰囲気の異なるオーナメントができます。
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●ぜひ、ご家庭でお楽しみください。
(学芸員・尾崎織女)
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