日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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学芸室から 2021.11.26

玩具文化へのまなざし――開館47年目の深秋に思うこと

先日の雨でぐんと気温が下がり、庭の紅葉黄葉の色が深まりました。「世界のクリスマス展」会場にはキリスト教系の幼稚園からの来館が相次ぎ、また、コロナ感染状況がおさえられていることから、「やっと訪ねることが出来ました」と来場者たちが戻ってきて下さっていて、日々、温かな声が響く館内です。

今期は、放送大学の「面接授業」のご依頼をお受けしており、先週末は姫路サテライトの教室へ出かけておりました。1日目は普段受講されているコースをこえて対面で集われた受講生の皆さんと、文献や絵画のなかに古代・中世・近世の玩具や遊戯具の姿をたどりました。さらに2日目は、玩具博物館へ皆さんをお迎えして、江戸時代の玩具を再現的に手作りする講座と館内の展示解説ツアーを。年齢層をこえて、目の前の事がらに前傾姿勢で取り組まれる皆さんの真剣なまなざしに支えられ、ついつい言葉に熱がこもってしまいました。―――プログラムがすべて終わった後、受講生の方々から「これまでの玩具に対する見方が、まったく変わってしまいました」「玩具のなかにあらわれる時代精神や民族性というようなものがとても面白いと思いました」と感想をいただき、それぞれが玩具文化への興味の窓を開けて下さったことをとても嬉しく感じました。
この授業をご計画下さった放送大学スタッフの方々、熱心にご受講下さった皆さま、本当にありがとうございました。

私が日本玩具博物館にお世話になった1990年ころは、まだまだ「玩具」の文化性に目が向けられることも多くはありませんでした。今も充分とはいえませんが、全国の博物館において、企画展のテーマとなることも増え続けていますし、「なんだ、おもちゃか…。つまらないものを…。」というような言葉を聴くことも本当にまれになりました。人間の成長に役割を果たす玩具について、作り手の立場から、使い手の立場から、また広め手の立場から、懸命に取り組んでこられた方々の努力のたまものと思います。井上館長がそのことを志して当館を開設して以来47年、私たちもまた、玩具文化の広め手としての役割を担ってこられたのかもしれない…と自らの歩みを振り返ります。私自身、「玩具と文化」というタイトルで、大学の履修科目を受け持たせていただいてもいますが、これからも、歴史学の視点から、また文化人類学や考古学、美学などの視点からも玩具を研究対象として取り組んでいただける若い方々が次々に表れて下さることを夢みて、地歩を固めていきたいと思う晩秋です。

(学芸員・尾崎織女)

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