日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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館長室から 2021.12.04

当館でないと見られない、驚きの特別展と企画展。

師走の季節になりました。当館の庭には紅葉が今も残り、早咲きの椿の花が咲き始めました。1号館での企画展「虎の郷土玩具展」と6号館での特別展「世界のクリスマス~北欧のクリスマス飾りを中心に」について、尾崎学芸員が「学芸室から(12月2日12月4日)」でも詳しく説明されています。私もこの二つの展示は、国内では当館でないと見ることが出来ない、素晴らしい内容の展示だと誇りに思っています。他館での特別展は借用資料による展示が多いのですが、2会場での1000点にも及ぶ膨大な展示品は、総てが当館の所蔵資料です。

「虎の郷土玩具」では、今から80年も前の貴重な虎の玩具を中心に、大小ずらりと400点もが並びます。驚くことに全長1mもある84年も前の大阪張子の虎、100年も前の10㎝ほどの大阪の神農さんの虎が展示され、神農さんの虎は昭和中期までの35体が年代順に展示されています。他にも、昭和初期の青森土人形の虎、会津張子の虎、東京亀戸張り子の虎、名古屋張り子の首振りの虎、徳島鳴門の張り子の虎、福岡県柳川の張り子の虎車など、廃絶して今では入手不可能な貴重な虎が地域毎にずらりと並んでいます。

本来ならば、これらの資料は長尾善三さんの没後、大阪の博物館が文化財として認知し、大切に保存すべき資料でしたが受け入れされず、遺族からの依頼で当館が受け入れなければ、貴重な資料が散逸していたと思われます。

「世界のクリスマス」展ですが、今回は北欧を中心に、東欧、中欧、南欧とヨーロッパ各地のクリスマス飾りを地域毎に展示しています。1985年に北欧を訪問して以降、何度も現地を訪問して収集してきた貴重な資料です。東西ドイツが統合した1990年の翌年には、ドイツ在住の日本人から招かれてドイツを訪問。旧東ドイツ領で木製のキャンドルスタンドや煙り出し人形などのクリスマス商品が作られていたザイフェンなどに案内され、生産業者を訪問しましたが、中国で模倣作品が生産されて困っていると聞かされました。

その後、クリスマスの季節になると何度も、ヨーロッパ各地の有名なクリスマスマーケットを訪ねましたが、売られている麦わら製のツリー飾りなどのクリスマス飾りの多くが、中国製品であることに気付きました。それらを買わないことを心掛け、現地で作られているクリスマス商品を苦労して探し当て、収集してきたのです。これほどの貴重なクリスマス飾りを所蔵している博物館はヨーロッパでも珍しいと思います。ご来館をお待ちしています。

(館長 井上重義)

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