日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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学芸室から 2021.12.25

日本玩具博物館のここがいい!~当館で「地域実習」を終えた学生たちからのメッセージ・その3~

「地域実習」のために当館に滞在された青山学院大学3年生の学生さんたちからのメッセージ・その3をご紹介します。当館の特徴的博物館活動である「伝統手芸・ちりめん細工の再興」について興味を持たれた二人の記事。最後のお一人の記事は、画像や映像では伝えきれず、またオンラインでは叶えられない博物館体験を多くの方々に呼びかけるものです。ご一読ください。(尾崎)


「ちりめん細工」は魅力的です!

今回私が紹介したいのは、ちりめん細工の展示です。私が元々実習先として日本玩具博物館を選んだのも、このちりめん細工に魅力を感じたからであったため、今回このような機会で実際に展示を見ることが出来てとても良い経験になりました。展示ケースに並ぶ多様な色や形のちりめん細工はとても綺麗で可愛らしく、様々な展示の中で一番気持ちが高揚しました。

一番お気に入り・夏のちりめん細工の展示コーナー ――筆者撮影

「ちりめん細工」は、日本玩具博物館の井上重義館長がつくった造語です。それが世に広まってここまで精通するようになり、今ではひな祭りの時期などによく見かける欠かせない作品となっています。日本玩具博物館はちりめん細工の生まれの地であり、それを普及させる集結点としての役割を現在も担っています。ちりめん細工を博物館で展示したことが反響を呼んだのをきっかけに、全国で講座を開いたり、ちりめん布を開発・販売し材料不足の問題を解決したり、様々な復興活動に取り組んだ結果、現在も親しまれる文化として残っているのです。

そんな日本玩具博物館のちりめん細工の展示は、有名なつるし飾りや今まで見たことなかった瓶細工など、数多くの作品があり、特に女性にとって非常に魅力が詰まった場所になっていると思います。この素敵な文化を途絶えさせないためにも、ちりめん細工の展示はとても大切なものであると感じました。

また、博物館の入り口には、井上館長・尾崎学芸員の手によって作られたちりめん細工に関する本が数多く並んでいます。この出版物も、ちりめん細工の普及には欠かせない貴重な文化財であることを学びました。「見る」だけでなく「作る」ことにも触れることが出来ます。

日本玩具博物館の「ちりめん細工」に関する出版物 ――筆者撮影

ちりめん細工に興味がある方には、一度ぜひ日本玩具博物館に収蔵されている数多くの作品を見てほしいと私は思います。(N. Iizuka)


美しい「ちりめん細工」

日本玩具博物館で実習・見学をして、3号館のちりめん細工の展示が印象に残りました。実習では、日本玩具博物館の行ってきたちりめん細工の復興活動についても貴重なお話を聞かせていただきました。「ちりめん細工」という私たちも聞き慣れた言葉を井上館長が考えたことや、日本玩具博物館がちりめん細工の全国的なブームの火付け役となったことを知り、井上館長や尾崎学芸員をはじめとした日本玩具博物館の方々が行ってきた事業の偉大さを改めて感じました。

特に展示の中で素敵だと感じた資料は、つるし飾りや傘飾り等の美しいちりめん細工です。また、海老袋や丹頂鶴袋などのユニークで愛らしいちりめん細工も見ることができます。ちりめん細工(かつては「裁縫お細工もの」と言ったそうです)のはじまりは魔除け、お守りのような意味合いがあったそうですが、徐々に用と美を供えた手芸品として、明治時代には女学生たちが学校で学ぶ教材になっていったそうです。展示資料の中には明治に作られたものもあれば、日本玩具博物館の講習会で作られたものもあり、個性豊かなちりめん細工の作品が飾られています。
館内配置図に3号館は「女の子の夢」と書かれていましたが、まさに女の子は特にワクワクするような展示がされていて、じっくりと見入ってしまう空間でした。(M. Nakagawa)


五感で楽しむ博物館

館内にはいると、日本をはじめ、世界各地から集められた玩具が、私たちを迎えいれてくれます。この日本玩具博物館は、従来の”見る”だけの博物館ではなく、”触れる、聴く、香る、感じる(想像する)”――訪れた人が「五感」で楽しむことができる博物館です。

日本玩具博物館の外観 ――筆者撮影

「見る」では、館内に展示された郷土玩具や近代玩具の色彩や形の違いを、眼で見て楽しむことができます。日本の玩具だけでなく、世界各地の民芸玩具が展示されているので、日本と世界の玩具を比較してみると面白いかもしれません。
「触れる」では、コマやけん玉などの昔懐かしい遊びコーナーや、ちりめん細工のワークショップで、実際に郷土玩具や世界の玩具に触れる体験ができます。懐かしさを感じながら遊ぶもよし、みんなで一緒に遊ぶもよし!館長さんはコマの達人らしいです。。。
「聴く」では、館長さんや学芸員の方々から伝わる玩具への愛を受けとることができます。ただみるだけではなく、玩具が誕生した背景を知ると更に楽しいかも!?
「香る」では、趣のある建物や、建物の間をつなぐ木の庭、縁側やテラスからの景色に季節の香りを感じることができます。館内をまわった後に、縁側に座ってゆっくりと休憩するのがおすすめです!
「感じる」では、玩具に秘められているもの、象徴される文化から、それらがあった時代背景を想像することができます。同じ玩具でも、地域や時代によって特徴があらわれます。一つの玩具をとおして、時代や地域を巡るのもおすすめです!

五感で博物館の玩具に触れること、様々な視点から味わうことで、昔懐かしさだけでなく、新たな発見ができると思います。誰にでも思い入れがある玩具ですが、訪れる人の背景によっても、感じ方は様々です。ぜひ日本玩具博物館を訪れて、玩具と向き合い、自分なりの”楽しさ”を見つけてみてください!(S. Yoshida)

<おわり>


       

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