日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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学芸室から 2015.08.29

夏休みの博物館実習生

学芸室は、今夏も博物館学芸員を目指す学生さんたちを博物館実習生として受け入れました。作業スペースなどの関係で、一度に2~3人ずつがやっとなのですが、少人数だからこそ、密度の濃い時間を過ごしてもらえるはず。実際に博物館施設における学芸職は年々、狭き門になっているのですが、施設の内側をしっかり学んでいただくことで、社会における博物館の大切な役割を体験的に知り、日本の博物館を支える社会人になっていただけたら、という思いで実習指導に当たっています。

今回は3名。ガイダンスのあと、寄贈品の収蔵登録の作業を始めたのですが、びっくりするぐらいモノ(=博物館資料)をよく見てよく考えられる学生さんたちで、久しぶりに私の心が躍りました。玩具博物館の資料収集、登録保存、調査研究、展示企画、普及活動などの現状を理解いただくことはもちろんですが、常設コーナーの清掃整理、梱包実習、テーマ展「イースターエッグ」の撤収、そして「ままごと道具」展示コーナーをつくる実習、おもちゃ教室の準備と補助、ワークシート作成と実施……など、こなしていただく課題はたくさんあります。一週間の実習に盛り込み過ぎのプログラムですが、3人は、話し合いながら、考えながら、誠実に、懸命に課題に取り組まれました。いい空気といいハーモニー。若い人たちの感受性の豊かさに接して、見慣れたモノたちが違った輝きをもってくるのを嬉しく感じました。

実習生たちが3人で知恵を出し合って作成した「日本玩具博物館クイズラリー」は、一枚刷りに切り込みを入れて、帳面状に折りたたむカタチ。最近、ワークシートや報告書などでも、見かけるようになったものです。来館者に展示を楽しんでいただく上で、「クイズラリー」は、ほんの小さなことですが、伝えたいことを明確にする、来館者の視線を想いやる、絵を描く、写真を撮る、デザインする、文章を考える、PCをあやつる……いろいろな能力が要求されます。楽しいものができあがり、最終日に実施した3人は、博物館の中で「モノ」と「来館者」の間に立つ楽しさと苦労、そしてやり甲斐をしっかり感じて、目を潤ませておられました。今回は、私も、若い人たちのひたむきさに接して初心を思い出し、新鮮なアイディアや工夫にたくさん学ばせて頂きました。
その様子を画像でご紹介いたします。

クイズラリー参加中の子どもたち

                          (学芸員・尾崎織女)

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