夏の草花遊び | 日本玩具博物館

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学芸室から 2015.08.27

夏の草花遊び

お盆を過ぎて朝夕は涼風が立ち、ツクツクボウシとアブラゼミの大合唱にまじって、ヒグラシの声も聞かれるようになりました。夏休みも残りわずか。真黒に日焼けした子ども達が両親と一緒に館内の玩具を楽しげに見まわる姿にも、どこか夏休みが終わる寂しさが漂います。
この夏は、館の周りに生育する植物を集めて、草花からいろんなものを作って遊びました。玩具博物館では開館以来、地域各地に伝承される草花や貝殻、木の実などで作って遊ぶ自然の玩具を収集していますが、『作ろう草玩具』(佐藤邦昭著・築地書館・2004年刊)を入手したところ、作り方の解説がすばらしく、その本に取りあげてある20種類すべてを作ってみたくなりました。カンゾウのカタツムリ、ススキの葉やシュロの葉で作るバッタ、麦わらの馬、エノコログサの馬、葛の茎の虫かご、ソテツの葉の虫かご、ヤシの葉の熱帯魚や風車・・・・。20種類の中には、私たちの地元、播磨地方に伝承されているものがあり、九州南部や沖縄など南国独自の伝承遊びあり、また、台湾や東南アジア、ハワイなど、他国の伝承玩具もあります。

実際に作ってみることで、こうした遊びを創造した先人たちの、自然素材を活かす知恵や動植物に対する観察眼の鋭さを追体験できますし、ちょっとした手先の工夫が創り出す造形の美しさ――普段はまったく気づきもしていない――に触れることができます。館の周りで遊ぶ子どもたちにちょっと見せると、皆、それらの作り方を知りたがり、コツさえつかめば、どんどん夢中で作り始めるのです。別の何かに発展させていく子もあります。私たちは、もっともっと四季折々の草花遊びを子どもたちに手渡してやりたいと思います。それらは、子どもの心に安らかな思い出を残し、美意識の基礎をつくっていくものと思うからです。

来年の夏休みのワークショップでは、このような草花を使った自然遊び――特に播磨地方に伝わるもの――をシリーズで取りあげてみたいと思っています。

(学芸員・尾崎織女)

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