日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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館長室から 2015.07.18

特別展「おもちゃの20世紀」が始まりました

大型台風11号の影響で16日と17日の2日間、当地は大変な豪雨でした。JRの山陽本線や播但線も不通になり、播但線は本日午前8時ごろから開通しましたが、山陽本線は神戸から姫路までが午前中不通でした。当館に大きな被害はありませんでしたが、3号館の子どもの遊び場で雨漏りがあり、2階を収蔵庫として使っていますので資料に被害があっては大変だと調べたところ、東からの横殴りの風雨で換気扇の周囲から雨漏りがしていました。原因も分かり大きな被害もありませんでしたのでホッとしています。雨上がりの庭には、オハグロトンボが優雅に飛ぶ姿を見かけるようになりました。

6号館では本日から、夏秋の特別展「おもちゃの20世紀~日本近代玩具の歴史」が始まりました。明治後期から昭和時代までのおよそ100年間。子供たちに愛されてきた玩具や人形が1500点も並び、見ごたえのある展示になりました。近代玩具は2号館の常設展会場にも700点余り展示していますので、合計すれば2千点を超える資料がご覧いただけます。
来館された方は日本の郷土玩具や世界の玩具といった伝統玩具や人形だけでなく、膨大な数量の日本の近代玩具の数々に感動され、感想ノートには早速、「昔の日常生活を思い出しながら懐かしく見せていただきました。このようにきれいに保存され、丁寧に展示していただいたことに感動しました。末永く保存して下さることを心から願っています」と記されていました。数十年も前の子供時代に遊んだ、懐かしい玩具との出合いに笑顔がこぼれています。     

戦時中の玩具(昭和10年代後半)

私が駄菓子屋の玩具や近代玩具の収集に取りかかったのは、昭和45年頃からでした。郷土玩具の研究家として有名だった横須賀の鈴木常雄先生から駄菓子屋玩具の大切さと収集家が大変少ない状況を教わり、駄菓子屋の玩具や近代玩具も収集保存する必要があると考えて、機会があれば収集してきたのです。その後、ブリキ玩具の収集ブームが起こり、古い近代玩具などを扱う店が大阪や東京にできたことが収集の足がかりにもなり、さらにネットオークションも貴重な資料の収集に役立ちました。それに昔の紙メンコやグリコのおまけ、昭和30年頃流行した小さな木製の人形の家などはご寄贈下さる方があり、貴重なコレクション群の構築ができたのです。昭和60年発行の『別冊太陽』「明治・大正・昭和-子ども遊び集」も大きな参考書になりました。

ブリキ玩具コレクションでは北原輝久さんが有名ですが、当館の資料は骨董的価値が高いといえるものは多くありませんが、近代玩具の流れを追う貴重な資料が集大成されていることが知られるにつれて大きく輝き始めました。先日は朝日新聞出版の編集者とカメラマンが東京から来館され、近代玩具の取材をされました。8月2日発売の『みんなの漢字』9月号に紹介されます。また前号でお知らせしましたPHP研究所から出版される『昔の玩具大図鑑』も、編集作業が終わり来月に発売の予定です。

(館長・井上重義)

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