日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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学芸室から 2024.01.06

日本玩具博物館の魅力を発信!~当館で「地域実習」を終えた学生たちからのメッセージ・その3

「地域実習」のために当館に滞在された青山学院大学3年生の学生さんたちからのメッセージ・その3をご紹介します。当館の出発点となった郷土玩具が伝える地域性に興味を持たれた方、特徴的博物館活動である「伝統手芸・ちりめん細工の再興」について興味を持たれた方、また、実習期間、一緒に時を過ごした井上館長と尾崎について取り上げてくださる方のレポートです。どうぞご一読ください。(A.OSAKI)


日本玩具博物館に日本各地のダルマが集結!!!達磨(だるま)は一種類じゃない!?

みなさんは達磨と言ったらどのような達磨を思い浮かべますか?きっと赤色のおじさんの顔・・・という人が多いと思います。しかし達磨は一種類だけではないことが分かりました!日本全国で様々な「色」「形」「性別」「面白い特徴」の達磨がいることが分かり、実際に日本玩具博物館に行くことで見ることができます。
達磨は中国から伝わってきましたと言われています。現在の達磨が誕生したのは江戸時代で、達磨は徐々に変化し、生産される地域によって変化してきました。その中で以下に面白い達磨を紹介します。

まずは中国・四国地方の二種類の達磨を紹介します。まずは愛媛県や大分県で有名な「姫だるま」、私自身最も印象的に残っている達磨で、皆さん男性の達磨しかないと思っていませんでしたか? 

次に紹介するのは、岡山県の「久米土人形」、こちらの達磨一見普通に見えますが注目するとハチマキを巻いています!お酒に酔ってフラフラしている様子を表しているのかも・・・。

甲信、北陸地方に関しては新潟県の「三角だるま」という形が面白い達磨や、山梨県発祥の武田信玄をモチーフにされた「信玄だるま」、信玄だるまは彫が深く、鼻が高いのが特徴です。次は山梨県にある白色の「白だるま」「子持ちだるま」です。白も可愛くて良いですね!

他にも髭が長い達磨や、模様が鮮やかな達磨などたくさんの達磨がいます。

日本玩具博物館には日本全国様々な達磨を見ることができます!皆さんもぜひ、日本全国達磨旅を日本玩具博物館で行ってみませんか?(Hayato IZUMI)


<日本玩具博物館の魅力~ちりめん細工の伝承活動>

日本玩具博物館が注力している取り組みとして、「ちりめん細工」の伝承と普及が挙げられる。ちりめん細工は、ちりめんという絹織物を使って袋物や小箱などを作る手芸であり、日本女性の教養の一つでもあった。日本玩具博物館には様々なちりめん細工が展示されており、ちりめん細工の講座も実施されている。また、現代でちりめん細工を普及するにあたって、材料の開発や供給、かつての教科書の復刻なども行っている。これらの活動を通して、日本玩具博物館はちりめん細工の再興と普及に尽力している。

学芸員の尾崎さんのお話によると、かつての教科書である「裁縫おさいくもの」を見て懐かしむ来館者に、そのコピーをお渡ししたことがあるという。その後教科書に載っていたすべてのちりめん細工が寄贈されたというエピソードであった。このエピソードには、人と人とのつながりを大切にする日本玩具博物館の特徴が表れている。人に寄り添う博物館であるからこそ、来館者や関係者との繋がりが普及活動につながっていると考える。貴重な資料を収集・保存・展示するだけでなく、来館者との関わりや講座などを通じて活用することで、より人に届く普及活動が行われていると考える。

若い人たちにも人気のある「つまみ細工」の手法で作られたかんざし

講座を開催してちりめん細工に興味のある人々のコミュニティを形成したり、資料を共有することでかつてちりめん細工をしていた人々が再び文化に触れるきっかけを作ったりすることは、人とのつながりを大切にする日本玩具博物館ならではのアプローチであると考える。(Otoha KUDO)


<井上館長と尾崎学芸員の関係性・人柄>

日本玩具博物館に来館すれば数多くの玩具を鑑賞して楽しめるのは勿論ですが、井上重義館長と尾崎織女学芸員とも実際にお話をさせて頂くと、博物館の核となる大きな魅力は展示品にだけではなく、お二方の互いに尊敬し合う関係性や人柄にも詰まっているのだと気づきました。なぜなら井上館長が個人で始めた46㎡の小さな展示館から、【ミシュラン・グリーンガイド2つ星】【160カ国からの9万点の資料】といった世界に通用すると断言できる博物館にまでなるのを可能にしたのは、井上館長と尾崎学芸員の存在が中心にあったからこそだと今回の実習を通して実感したからです。

例えば日本玩具博物館の所蔵品の多さは、まさに井上館長と尾崎学芸員に対する寄贈者からの信頼が厚い証とも言えます。お二人はお互いが一番の理解者のように尊敬し合う素敵な関係を築いている事が会話から何度も垣間見えました。また人との出会いやつながりを非常に大切にしている事も、館長が海外からの来館者にどんどん気さくに話しかける姿などを見て伝わって来ました。さらに玩具は使い捨てが前提にあるからこそ、文化財としての玩具を後世に残そうという使命感を強く持って博物館を運営されています。このように信頼できるお二人の人柄が、日本玩具博物館が国内に限らない多くの寄贈を受けることに繋がっているのだと思いました。

そんな井上館長と尾崎学芸員だからこそ収集できた世界の玩具が集まる日本玩具博物館に是非足を運んでみてほしいです。(Rikako SAITO)


<おわり>

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