日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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学芸室から 2024.01.21

郷土凧の美しさを子どもたちに~コレクションのデジタルアーカイブ化とアウトリーチ活動

昨年度に続き、今年度も当館は文化庁の「Innovate MUSEUM事業」の採択を受け、情報技術の扱いに長けた担当スタッフが博物館資料のデジタル・アーカイブ化とその公開・発信に向けて頑張ってくれています。その取り組みの一環として、昨春「おおやアート村BIG LABO*そらテン」に、昨秋には「浦添市美術館*なつかしの郷土玩具展」に出品展示協力した郷土凧約80点をデジタル・コレクション化して活用したいと思い、地元の写真家・島内治彦さんに凧資料の撮影をお願いいたしました。日本各地に伝わる郷土凧が表現する日本の美意識、デザインに込められた意味や地域性、モノづくりの知恵などをわかりやすくご紹介できるのではないかと。

島内さんには、郷土凧それぞれの表面と竹骨(凧によってはヒバ材)の構造がよく見える裏面、また細部などを丁寧に撮影していただきました。

島内さんに撮影していただいた凧の画像

そのような画像などを用いて、今月は、地元の小学校——姫路市立香呂小学校/姫路市立中寺小学校——へ、スタッフとともに「ふるさとに伝わる凧のお話」にお伺いいたしました。低学年のこどもたちを対象にしたお話だったのですが、興味津々、一生懸命考えながら、楽しみながら、それぞれの時間を過ごしてくれました。香寺在住の凧名人・高田敬一さんも参加してくださり、地元らしい凧のお話し会になったかと思います。

凧のお話のスライド(いく枚かを抜粋)

中寺小学校では、郷土凧のお話のあと、小さく簡単で、けれども凧のエッセンスが詰まった「折り紙の凧」を作って、風のよい晴れた日に凧あげを楽しみ、また凧名人の高田さん製作の「バラモン凧」が新春の大空に舞い上がる様子を見学する時間ももうけていただきました。
「凧、だーーーーいすき!」と子どもたちが口々に話し合っている様子に触れて、スタッフ一同、しみじみ嬉しく思いました。日本各地に伝えられた造形に対してあたたかなまなざしを向けられる子どもたちが育っていくよう、少しずつでも、私たちにできることを…と。香寺小学校、中寺小学校の先生方、また自作の凧をたくさんご披露くださった高田敬一さんに感謝いたします。本当にありがとうございました。

(学芸員・尾崎織女)

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