麦秋~麦わら細工の季節 | 日本玩具博物館

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学芸室から 2024.06.03

麦秋~麦わら細工の季節

麦秋至の候。「麦秋至―むぎあきにいたる―」は、七十二候のひとつで、5月末日から5日間ほど(2024年は5月31日~6月4日)をさしています。播磨地方の農村部では、食品会社と提携し、組合をつくって麦作を行う農家もあり、また個人で栽培される方々もあり、今、晴れ上がった青空の下に黄金色の麦畑が広がっています。薫風が渡ると、さわさわと乾いた音をたてて麦穂が波打ち、麦秋の喜びに満たされます。

麦畑によく実った小麦

かつて香寺町あたりでは、麦の収穫後の麦わらを使って、子どもたちは伝承の麦わら細工や麦わらの手遊びを楽しみました。先日、友人から小麦わらをひと抱えほど分けていただいたので、皮や袴を取り除いて整理し、「神輿」と「蛍かご」を作ってみました。

こちらのページで紹介してみたいと思い、出来上がる過程を写真に撮りました。――まずは神輿。乾燥した麦わらは折れやすいので、数時間以上、水につけて軟らかくしておきます。

香寺町あたりでは、10月、収穫後の「あぜ豆(枝豆)」の茎を使い、秋祭りの神輿を真似て、子どもたちが手作りしたのですが、❝麦わらでも作ったよ❞と言われる70代、80代の先輩方もあります。麦わらがツヤツヤ、カンボジアのアンコールワットを連想するような美しい造形ですね。あぜ豆の季節にもまた作ってみましょう!

麦わら細工の神輿、出来上がりました!


次は、蛍かご。大きさによりますが、ひとつのかごに、麦の第一節(麦穂がついている部分)30~50本ほどが必要です。複雑に見えて作り方はシンプルです。まずは8~10㎝ほどに切った太めの麦わら(麦の第二節)2本を十字に組み合わせて底を作ります。水に浸して軟らかくした麦わらを十字の先の3ヶ所に1本ずつ、残りの1ヶ所には2本の麦わらを差し込み本を隣の角へ、さらに隣の角へと順番に倒しながら編み進めていきます。

コツがつかめたら、小学生の子どもたちにも十分楽しく編めると思います。編み上がったかごは全体が乾くと、また麦わらの輝きが戻ってきてとても綺麗です。蛍が飛び始めたら、このかごの十字の底からつゆ草などを詰めて蛍狩りへ出かけたいですね。蛍をとらえたら、上方に開けた入れ口から蛍を中へ。たくさんの蛍が入ったかごは、蛍の緑色の光がつゆ草に透けて幻想的。蛍狩りの帰りには、蛍をもとの川原に放ちましょう。あちらこちら抜け穴だらけの蛍かごは、閉じ込める虫かごではなく、束の間、蛍の光を手元で楽しむものなのです。

麦わら細工の蛍かごにはいろいろな形がありました。底を十字ではなく、3本の麦わらを車輪形にして、6ヵ所に細い麦わらを差し入れて編み上げていくものや、底から卵形に編んでいくものなど。また機会がありましたら編み方を紹介したいと思っています。

(学芸員・尾崎織女)

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