日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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学芸室から 2018.12.25

クリスマスプレゼントは経木モール!?&よいお歳を

みなさまメリークリスマス~♪
34回目を迎える玩具博物館の冬の特別展「世界のクリスマス」ですが、わたしとしては初めての玩具博物館でのクリスマスシーズン。ワークショップ、絵本朗読会、展示解説会と、突然のサンタクロースの訪問(!?)と、「世界のクリスマス」をめぐる当館恒例の12月の日々を来館者のみなさまと過ごすうちに、あっという間にクリスマス当日の朝を迎えました。

さて8月の<ブログ「学芸室から」>でお話をした「経木モール」を覚えていらっしゃいますでしょうか。日本製クリスマス飾りのはじまりとされるもので、明治30年代後半から製造され、主にアメリカを中心に海外に輸出されていたものです。当館はこの「経木モール」の実物を収集できておりません。同じく経木モールについて、調べられている神戸芸術工科大学の相澤孝司先生、実際に作られていた柏原町や神戸産業さんにもお伺いし、貴重なお写真を拝見することができました。しかし、実物にお目にかかることはできず、改めて日本でのクリスマスの広がりを探るべく、尾崎学芸員とともに調査を進めるなかで、この経木モールの実物を確認したい思いでおりました。
ところが!今週さる筋から、経木モールではないかというものを館長と館のスタッフが見つけ、なんと昨日12月24日に当館の資料として収蔵することができました@o@!!
さらに赤、緑、黄?(白木にしては黄色いような気もするので、染色されているのではと)の3色セット!


長さが4mほどあり、幅は1㎝です。パッと見た感じでは、たわしのようで、素材もあまりにも細くて経木製とはわかりません。よく見ると、1㎝の長さで1mmにも満たないほどの幅の経木が連なっていて、中心に糸があることがわかります。経木は5mmや1cm幅でじゃばらのようになっている箇所もありました。神戸会長から、「細い経木を並べて、縦の中心を固定して、ねじると経木が裂けてさらに細かくなってモールになる」とお聞きしたので、そのような製造方法で作られたものかもしれません。

中心に白い糸があり、ねじっている様子がわかります
Made in occupied Japan (占領下の日本製)
のスタンプがある張子のベル

 産地や年代を特定することが難しいのですが、今回、メイドインオキュパイドジャパン(占領下の日本製で、昭和22年~昭和24年の輸出品にはオキュパイドの表記が義務化されていました)というスタンプが押されたツリー飾りとともにこの経木モールが見つかったため、おそらく戦後に作られたもので、昭和20年代製のものではないかと考えられます。夏に聞き取りをさせていただいた神戸産業の神戸会長の、プラスチックが導入されると経木製のものは瞬く間に作られなくなったというお話からも、戦後まもなく作られたものではないかと考えられます。

1924年のアメリカの雑貨店のクリスマスカタログ

1924(大正13)年にアメリカの雑貨店から出されたクリスマス飾りのカタログに掲載されている「Popular Japanese roping Green or Red」という商品にも酷似しています。ガーランドではなく、ロープと表現され、まさにロープの束のように描かれていた商品を見て、これがモールかな?と思っていたのですが、比べてみるとそっくりです。

イブに収蔵できたこともあり、クリスマスプレゼントのようで、早速に資料登録の後、「世界のクリスマス」の日本のコーナーでご紹介しています。昭和50年代以降のツリー飾りで彩られたツリーの中に、経木モールと占領下の日本製のツリー飾りが入ると、日本のコーナーもぐっとクラシックに見えます。


年が明けましたら、実際に経木モールの生産に携わっていらっしゃった神戸産業さん、そしてお祖父さまの経木加工工場で子どものころに経木モールを見られた柏原町のT氏にも今回収集した経木モールを見ていただこうと思っております。


さて2018年も残すところわずかとなりました。本年も日本玩具博物館を見守り、活動を支えてくださってありがとうございました。2019年は平成が終わり、玩具博物館は開館45周年を迎えます。玩具の世界も大きく変化した平成時代ですが、おもちゃや遊びは子どもにとって楽しくて、心の成長にかかせないものというのは、いつの時代も変わらないのではないかと思います。新たな元号を生きるみなさまに、玩具博物館がより一層喜んでいただけるよう考えてまいりたいと思います。来年もどうぞよろしくお願いいたします。(原田悠里)

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