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学芸室から 2014.08.08

<見学レポート>神奈川県大磯町「西小磯の七夕」

今年の八月七夕は、相模灘をのぞむ大磯町へ、ちょっとユニークな七夕行事見学に出かけました。他の用事にかけての旅だったため、一部始終の取材が出来ませんでしたが、七夕に関わる習俗の多様性をまたひとつ実感しました。

西小磯東地区の七夕。水神さんの周りを皆でお祓い。

「西小磯の七夕」は、盆を迎えるにあたり、村内を祓い浄める行事として伝承されるものです。8月6日、竹飾りを手に七夕宿へ集まった子どもたちは、村内の神社、道祖神、井戸、水神、辻などの意味ある場所を、唱え言を繰り返しながら竹飾りで祓って歩きます。

七夕宿は、その昔は年長の子どもの家が持ちまわりで務めていましたが、昭和63年頃より、老人憩いの家に固定されています。

「西小磯の七夕」は、東地区と西地区に分かれて行事がもたれます。主催が、一方は保存会、一方は子ども会となっているため、伝承をより重んじて開催日をひと月遅れの七夕に固定する東地区と、八月第一週の土日に開催する西地区とでは、行事の内容にもさまざまな違いがみられます。

私が見学させていただいたのは、東地区。昔ながらに行事の担い手は子ども連の男の子です。暑い日盛り、五色の短冊と網で飾り立てられた竹飾りを肩に、汗だくになりながら、村内を祓ってまわる現代っ子たちは、みな綺麗な瞳をしていました。子どもが祓を行うことに意味があるですね!


村内の穢れを移して七夕宿に戻ってきた竹飾りはそこで束ねられ、子どもたちの手によって「竹神輿」に仕立てられます。8月7日の早朝、竹神輿は、相模の海へと流されます。

資料館に展示されている竹神輿

コバルトブルーの空と緑の村、笹飾りの一行が風景をさらに鮮やかにして、美しい大磯の町でした。


「西小磯(東地区)の七夕」その後

8月13日。見学に出かけた神奈川県大磯町の七夕行事は、外せない他用のため、最後まで見届けることができなかったのを残念に思っていました。そうしたら、お世話になった郷土資料館の学芸員H氏が、その後の様子を撮影した素晴しいお写真を届けて下さいました。朝一番に届いたそのお写真を嬉しく眺めているところです。

一枚目の写真

一枚目の写真――6日の夕刻、子どもたちは出来上がった竹ミコシを担いで、道祖神、水神、神社の境内をまわり、祀られている神様の傍へ来ると、ミコシが波にもまれているように回してオハライを行います。祝詞を唱えながら。見守る方々が手に手に提げておられる七夕提灯が綺麗です。

二枚目の写真

二枚目の写真――7日早朝、子どもたちは再びミコシを担ぎ老人憩いの家の道祖神の前で、前日と同じようにオハライをした後、海へ向かいます。ところが、この日の早朝は台風の影響か波が非常に高く、ミコシを海へ流すことが出来ず……、波打ち際でオハライが行われた後、海岸の山側に放置されました。流せなかった今年の竹ミコシは来年年始の左義長で燃やすことになるそうです。

お世話になりました西大磯の皆さま、ありがとうございました。

(学芸員・尾崎織女)

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