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blogうれしい再会・その3
夏休みの博物館学芸員実習生
●玩具博物館では毎年、夏休み時期を中心に、各回、一週間、博物館学芸員志望の学生さんを受け入れています。今回も、3つの大学から3人の学生さんを受け入れ、日本玩具博物館の博物館活動のいくつかの項目について実習に取り組んでもらいました。実習の時期によって課題は違うのですが、この度は、次の4つを設定しました。
①新収蔵した世界の民芸玩具約50点の採寸、収蔵登録、梱包収蔵作業。
②2号館常設の「昭和のキャラクター玩具」のコーナーをつくる作業(品名、製作年代調査、キャプション作成含む)。
③4号館常設展示ケース内の清掃整理作業。
④クイズ形式のワークシート作成、実施。
以上の課題に対して、3人で協力して当たるカタチをとりました。知らない同士が突然に会うのですから、最初はぎこちない感じでしたが、作業が進むにつれ、それぞれの個性を出し合えるようになり、3人はとても熱心に課題をこなしていくことができたと思います。
T君が大事にしていた麦わら細工のホタルかご
●さて、その3人の中には、小学生だった頃に夏の玩具博物館で“麦わら の虫かご”を編んだという男子学生がありました。
―――ええ?!何年頃かな?―――2000年代はじめ頃と見当をつけ、ファイルを何冊か取り出して夏のワークショップ写真をめくったところ―――ありました!弟君とお母さまと参加され、熱心に麦わらを編んでいる小学5年生の彼の姿が。「ずっと玄関に飾っていたんです。これがあの時の作品です。」と彼が玄関から持参してくれたのが下の画像です。
●夏休みの思い出とともに、大事にもっていてくれたこと、また、時を経て、大学生となり、博物館の仕事に興味を抱いて学芸員実習にやってこられたこと、とてもうれしく思いました。
●最後の課題として、来館者に向けて、ワークシート風のクイズ作成と実施を行いました。クイズに答えることで、来館者が展示品に身を乗り出してご覧下さり、ああ、そうだったのか!と発見をしてもらえるような内容がいいと指示したのですが、来館者の滞留時間の比較的短い4号館の常設展示コーナーに的をしぼって、喧々諤々、和気藹藹、思い思いの問題を出し合い、3人は「4号館DEクイズラリー」作成に没頭しました。
●そして最終日の午後、クイズを楽しむたくさんの来館者の笑顔に包まれて一週間の実習を終えていかれたのでした。
●目的は様々ちがっていても、博物館で過ごすひとときが、それぞれの心に印象深い風景をつくり、後の人生の興味関心や出合いというものにつながっていくなら、それこそが博物館の存在意義なのだと思います。博物館は、「もの」があふれる場所ですが、その「もの」を愛する「ひと」が絶え間なく往来し、未来に向かってたくさんのレーンを広げるステーションでもあるのだとしみじみ思う今年の夏でした。
(学芸員・尾崎織女)
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