うれしい再会・その2  | 日本玩具博物館

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学芸室から 2013.08.23

うれしい再会・その2 

もうひとつ、うれしい再会のこと、お話しさせて下さい。昨秋、1号館の企画展「世界の太鼓と打楽器」にからめて、ランプの家でいくつかのライヴを開催しました。その時期、たまたま来日中だった西アフリカ・ブルキナファソのミュージシャン、ミロゴ=ベノワさんをお招きして、ジャンべ(ゴブレット型太鼓)やバラフォン(世界の木琴のご先祖さま)、コラ(西アフリカのハープ)などの演奏を楽しむ機会が持てたことのあらましは、<ブログ「学芸室から」2012年10月24日>で紹介いたしました。
そのライヴに急きょ、小さなダンサーとして参加し、ベノワさんからジャンベ演奏を親しく教えてもらった子どもたちがありました。玩具博物館の近所に住む結一君や咲季ちゃんたちです。ベノワさんの音楽、そしてそのお人柄には子どもの心を惹きつける強い力があるのでしょう。彼らは、たった一日でべノワさんを大好きになり、その出会いを深く心に刻んだようです。

2012年10月21日、ランプの家でベノワさんのライブを開きました
ベノワさんのライブに参加した子どもたち(真ん中が結一君)

結一君(現在、小学4年生)は、ライヴのあと、ティッシュケースを利用して、“ベノワさんのからくり人形”を自作し、私たちに見せにきてくれました。底を抜いたティッシュケースの両側を交互に上下動させると、ベノワさんが両手を動かしてジャンベを叩く仕組みです。これには、からくりおもちゃにかけて誰より目の肥えている井上館長もびっくり大絶賛!! 館長は、ベノワさんの帰国前に、結一君の思いが詰まった作品をベノワさんに届ける役目を引き受けて下さいました。その人形を、ベノワさんが故郷の家に飾っておられると知った時の、結一君の嬉しかったことといったら!! 

ベノワさんがジャンベを叩く人形を作った結一君と妹の咲季ちゃん

ベノワさんがブルキナファソへ帰られて一ヶ月、二ヶ月、三ヶ月・・・・・・・・・、結一君たちは館へ遊びに来る度に、「ねぇ、おさきさ~ん、ベノワさんはまた来る? いつ来る?」と、今度、会える時を知りたくて仕方のない様子。「夏が来たら、きっとね!」―――「夏っていつ? 7月? 8月? ねぇ、いつ?」――と。

―――そして今年の夏がやってきました。去る8月6日、来日して間もない忙しさのなかで、ミロゴ=ベノワさんは、なんと、玩具博物館を再訪して下さったのです。結一君や咲季ちゃんたちの喜んだことといったら!! 待ち続け、思い続けたら、その願いはきっと叶うものだと、再会の嬉しさの中で、子どもたちは胸一杯、夢を信じる心を育てたことでしょう。

ベノワさんとの再会、うれしすぎる~!!!

上の画像は、ベノワさんを真ん中にした結一君と咲季ちゃんのスリーショットです。ベノワさんが持っておられる紙袋の中には、結一君が作った“ブルキナファソ新聞”が入っています。昨秋のライヴの中で、ベノワさんは「ブルキナファソは日本では名前すら知られていません。私の祖国であるブルキナファソのこと、もっと皆さんに知ってほしい」と言われました。結一君がしっかりうなずいたこと、私は見ていました。

結一君が作ったブルキナファソのことをまとめた新聞

先日、結一君のお母さんからお聴きしたことですが、彼は、ライヴのあと、学校の図書館でブルキナファソのことをいろいろ調べ、子どもたちの暮らしのこと、食べ物のこと、ブルキナファソの自然は豊かであるけれど、経済的には貧しいという国の現状も含めて、一枚の大きな紙に地図や絵入りでまとめ上げました。「ブルキナファソを応援しよう!」と書かれたその新聞、担任の先生がとても褒めて下さり、2学期と3学期、教室に掲示して下さったのだそうです。結一君の純粋な心と行動力にとても打たれたので、紹介させていただきます。

この出会いと再会が子どもたちにとって、またベノワさんにとっても、素晴らしい将来へとつながっていきますように…。(尾崎織女)

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