中国民間玩具展、催事いろいろ後記 | 日本玩具博物館

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学芸室から 2013.09.28

中国民間玩具展、催事いろいろ後記

■展示解説会~民間造形の魅力~

初めての大がかりな中国民間玩具展もいよいよ終盤に近付きました(→10月15日まで)。これまで、中国の民間玩具をどのようにみていくべきかについて、多くの視点を示唆して下さり、親しくお導き下さった北京の李寸松先生、生涯かけて築かれたコレクションを寄贈下さった伊藤三朗先生、そして、戦前のコレクターであり、郷土玩具の研究者であった尾崎清次先生、これらの先生方がいらっしゃらなければ叶わなかった特別展です。よいものにできるだろうか――準備の折には胸がどきどきして緊張と不安でいっぱいだったのですが、果たして、多くの方々に歓迎され、親しまれる展示内容となったこと、足りなかった点を多く気づかせていただけたことも含めて、とても嬉しく思っています。

この機会に中国の民間造形の楽しさに触れていただきたく思い、ご案内した日時だけでなく、時折、展示室へ押しかけるようにして展示解説会を繰り返しましたが、ご参加下さった方々には、今、巷にあふれるMade in Chinaの玩具ではない、様々な民族が暮らす国ならではの民族的多様性や、小さいながらに風格をもった民族造形の魅力をお感じいただけたでしょうか。

繊細な造形を直にご覧いただく


■郷土玩具文化研究会来館

特別展をオープンして間もない6月30日には、近畿圏の郷土玩具趣味人たちが組織する「郷土玩具文化研究会」の25名ほどのお歴々をお迎えして、中国民間玩具をテーマに研究会を開きました。

講座室で展示概要を紹介する

講座室で展示概要についてご案内したあと、展示室でそれぞれのコーナーごとに展示品をとり出してじっくりご覧いただいたのですが、戦前の中国東北部(旧満州)の玩具について造詣の深い研究会員や李寸松先生とご懇意な方もあり、中国民間玩具の昔と今を行ったり来たりしながら、内容の濃い研究会となりました。素晴らしいコレクションを寄贈いただき、本展の開催を可能にして下さった伊藤三朗先生がこの場にいらっしゃたら、もっともっと話を深められたかもしれません。

展示室で実物資料にふれていたく


■展示室に響く中国民族音楽の調べ

天井には風筝(=凧)、展示ケースの中には各地に伝承される泥人(=土人形)、泥哨(=土笛)や京劇のからくり人形や仮面や……―――中国の民間玩具が賑やかに居並ぶ展示室に中国民族楽器の音色が響けばどんなによいだろうかと思い、9月22日には、地元のアマチュア音楽グループ“姫路中国音楽アンサンブル”の皆さんをお迎えし、中国の民族音楽を演奏いただきました。

河北省、浙江省、広東省、青海省、雲南省など、広い中国大陸には地域によって異なる民族楽器や民謡が伝えられています。大陸のあちらこちらに想いをはせながら、特徴ある楽曲に耳を傾ける来場者の皆さんの表情がふんわり和らいで見えました。

展示室に響く中国民族楽器の調べ

登場した民族楽器は、笛子(ディーズ=竹の横笛)、嗩吶(スォーナー=中国のチュルメラ)、葫芦絲(フルス=ヒョウタンの笛)、二胡(アルフ―)・中胡(チョンフ―=中国の胡弓)、揚琴(ヤンチン=中国のチター)、大阮(タールアン=ギターに似た弦楽器)、木魚などです。
午前午後合わせて3回にわたる演奏には、各回、会場にぴったり座れる人数の来場者をお迎えできした。民族楽器についてのレクチャーもあり、また、来場者には打楽器や発音玩具を手に、演奏に加わっていただく場面もあり、非常にユニークなライブとなりました。

ランプの家でも演奏いただきました

ご遠路、お運びくださった皆さま、ありがとうございました。また残暑厳しい9月下旬の日盛りに、ふらふらになりながらも楽しい時間をつくってくれたアンサンブルの仲間――実は私もこのアンサンブルのメンバーで揚琴を担当しています―――に感謝いたします。

(学芸員・尾崎織女)

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