春の特別展「雛まつり」が始まりました。 | 日本玩具博物館

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館長室から 2016.02.08

春の特別展「雛まつり」が始まりました。

当館入り口の蝋梅が満開になり、美しい椿の花が咲き、各地の博物館から雛祭り展の案内が届く季節になりました。当館でも去る6日から6号館で恒例の特別展「雛まつり~京阪の雛飾り~」が始まりました。当館は500組を超える膨大なひな人形コレクションを所蔵しているだけに、年毎にいろんな角度から雛人形に焦点を当てた展示をしており、今年は京阪の雛人形をテーマにした展示です。

春にさきがけて蠟梅の花が満開です

昨年はこの季節、東京の目黒雅叙園で瀬戸内雛紀行が開催され、要請を受けて当館からも江戸期から大正期頃までの御殿飾りや雛人形たちを多数出展。晴れの舞台での展示は大きな反響がありました。その関係から当館での雛人形展は久々に全国各地の郷土雛などを中心とした展示でした。
今回の展示では京阪で作られた江戸期や明治期の衣装雛や御殿飾りがずらりと並び、来館された方々から早速、このような内容の雛展は初めて見た「素晴らしい展示だ」と、感動のお言葉をいただいています。

昨年、目黒雅叙園で展示されて脚光を浴びた御殿雛や江戸期の古今雛をはじめ、西室では江戸から明治期に作られた衣装雛17組が江戸製と京阪製とに対比されて展示され、東室は京阪で明治期から大正期にかけて飾られた御殿飾りと源氏枠飾りが8組展示され、うち2組が初公開です。その1組は灘の蔵元で飾られていた豪華な京都の丸平製の御殿飾りです。また5号館には昭和20年~30年頃の御殿飾りが2組展示されており、新旧の雛の御殿飾りがこれほどの内容で展示されるのは全国でも例がないと思います。

御殿飾り雛がずらりと並んでいます

華やかな御殿飾りの陰に隠れて存在感が弱いのですが、ぜひご覧いただきたいのが東室の御殿飾りの側に飾られた2組の大型の勝手道具です。明治から昭和初期にかけて関西の裕福な家庭では雛人形と共に雛段の下に台所道具が飾られました。これらは雛祭りの期間中、女児が触って遊んだもので、遊びを通して家事や作法を学ぶ道具でした。今では見かけることがない懐かしい道具がずらりと並び、その内容にも驚かれると思います。写真は7~8㎝ほどのネズミ捕りです。こんなものもかつてはひな壇に並んだのです。

雛の勝手道具(明治末~大正期)

この欄の前号でちりめん細工の新刊が出ると申し上げましたが、先月末から書店に並び始めました。題名は「基礎からわかるちりめん細工のつるし飾り」、定価は1400円+税。初版は13000部です。八重桜袋・牡丹袋・ばら袋・がく紫陽花袋・鉄線袋・菊袋・梅袋などの美しい花々や出目金袋・蝉袋・犬張り子・おしどり袋ほか、20作品の作り方や数々のつるし飾りが紹介され、愛好者の皆様に喜ばれそうです。また掲載作品は今月27日から1号館で開催の企画展「ちりめん細工とつるし飾り」で展示されます。

出版された「基礎からわかるちりめん細工のつるし飾り」


併せてちりめん細工にかかわる嬉しいお知らせです。先月、読売新聞東京本社から取材があり、去る2月3日の読売新聞夕刊(全国版)にカラー写真で全5段という大きな扱いで、ちりめん細工と復興に取り組んできた私が紹介されました。問い合わせも多く大きな反響がありました。

(学芸員・井上重義)

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