日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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館長室から 2015.10.10

おもちゃ教室など、多忙です

紅葉の季節にはまだ早いのですが、庭には山茶花の花が咲き、柿の実も色付きました。今日と明日は地元の香寺地区の秋祭り。周辺は祭り一色で、担ぎだされた太鼓屋台から太鼓の音が聞こえてきます。


このところ連日、小学生の団体があり、2年生が多いのですが、見学だけではなく、おもちゃ作り教室で、風車やぶんぶんコマを教えています。さらに8日には神戸市の老眼大学の講師に招かれ、3千人もの前で話をする機会がありました。

6日は姫路市手柄小学校の2年生たち100余名がJR姫路駅から播但線に乗り、香呂駅から徒歩で約15分の当館にやってきました。館内の見学と折り紙の2枚羽根の風車(写真)を子供たちに教えました。同様の風車は私が子供のころ、駄菓子屋で買って遊んだ記憶がありますが、今ではすっかり姿を消してしまった風車です。しかしこの形の風車は、16世紀中期にベルギーの画家・ブリューゲルが描いた『子供の遊戯』の中にあり、明治時代の頃に、ヨーロッパから伝わったのではないかと推測しています。3クラスに分けて作りましたが、完成した風車が風を受けてクルクル回ると、子供たちから大きな歓声があがりました。

  

8日と9日はブンブンコマ作りです。8日は竹田城で有名な竹田小学校から30名。9日は姫路市城陽小学校から100名が播但線に乗ってやってきました。8日は神戸に出かけましたので学芸担当者に任せましたが、9日は私が教えました。ぶんぶんコマは江戸時代には「松風こま」と呼ばれ、遠い昔から遊ばれていること、世界中で子供たちに遊び継がれていることを話し、私がアイスクリーム用の木の棒に2か所、キリで穴をあけて準備したものに、子供たちが凧糸を通して回す練習をします。ぶんぶんコマが回せる子は皆無に近く、一人ずつ手を添えて回し方のコツを教えます。回せると感動の声が。アイスクリーム用の木の棒を使うのは、丈夫なのでポケットに忍ばせ、長期間遊んでくれることを願っているからです。

8日の神戸市の老眼大学は高齢者の生涯学習事業です。会場は神戸駅の北10分ほどの神戸文化センター。昨年暮れに依頼があり、神戸婦人大学の講師を長年していることから、軽い気持ちで引き受けました。それが大ホールで3000名を超える受講者があり、午前と午後の2回に分けて開催されることが分かり、そんな大勢の前での話は始めてだけに不安がありました。当日は、その大ホールが午前、午後ともに満席状態で驚きました。
内容は「神戸にかかわる玩具たち」と題して、収集の動機や玩具博物館設立の経緯、神戸の郷土玩具収集家のこと、神戸ゆかりの玩具として、有馬の人形筆・神戸張子・長田神社のポッペン・神戸人形・神戸のクリスマス玩具・阪神淡路大震災後の雛人形の救済活動、それに懐かしい駄菓子屋の玩具などをパワーポイントを使って説明。「これらの資料は当館が守らなければ散逸して今に残ることはなかった。ぜひ神戸で守ってほしい。」と話しました。

また高齢者の方が対象でしたので、「皆さんが子供の頃に作って遊んだぶんぶんコマ、広告の紙などを折って作る紙てっぽう、新聞紙を折ってつくる帽子をお孫さんに教えてほしい。」と話し、会場で紙てっぽうをパンと鳴らした後、「いまの子どもも遊んでいると思う方は挙手を」と問いかけたところ、挙手する人は皆無に近かったのです。しかし、「現在も遊んでいる子供は多い。」と話すと会場がどよめきました。そして嬉しかったのは講演後に大きな拍手をいただき、事務局から、当館についての問い合わせが多数あったとお聞きし、早速にご来館下さる方があったことです。

(館長・井上重義)

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