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館長室から 2014.02.28

「ちりめん細工とつるし飾り展」―華やかさに感動の声

当館の庭に咲く、蝋梅やマンサクの木の黄色い花が満開になり、地面には福寿草やユキワリイチゲの花が咲きました。ユキワリイチゲは雪が消えたばかりの地に咲くことから「雪割一華」と呼ばれ、早春の花として有名です。その花の小さな群落が当館の庭には2か所あり、陽の光が当たると薄紫色の可憐な花が咲きます。椿の花も次々に咲き始めて、当館の庭は早春の息吹でいっぱいです。

庭にある5号館のランプの家では6号館の特別展「雛まつり」に併せて昭和初期の雛人形が3組飾られ、ちりめん細工の傘飾りなどのつるし飾りも展示されて華やかになりました。

1号館での企画展「ちりめん細工とつるし飾り」も始まり、企画展と特別展(6号館)が出揃いました。ちりめん細工の特別展示はほぼ2年毎の開催ですが、今回の展示では1月中旬に日本ヴォーグ社から出版された『ちりめん細工つるし飾りの基礎2』に掲載された作品を中心に、これまでの出版物に掲載された作品の中から、春・夏・秋・冬と季節毎にまとめて展示しています。本当に華やかで楽しい展示になりました。ご覧になった皆様から、「素晴らしい展示ですね」と感動のお 言葉が再三寄せられています。
その『ちりめん細工つるし飾りの基礎2』ですが1月中旬に15,000部発行されたのが、1カ月で増刷になりました。また『ちりめん細工つるし飾りの基礎』も増刷が決まり、10版と版を重ねています。ちりめん細工の作り方を易しく解説した2冊の本は、ちりめん細工の入門書として大きな役割を果たし、愛好者を広げています。

ちりめん細工のつるし飾りと言えば、雛まつりの時に飾るものといった認識が強いのですが、ちりめん細工には四季折々の花など季節感あふれる作品が多いため、それらを吊るして飾る作品の制作に作者と共に取り組んできました。今回の『ちりめん細工つるし飾りの基礎2』でも季節感のある作品が数多く発表されています。蓮の花3点を吊るして飾る作品があり、読者の方からお盆にお仏壇のそばに飾りたいと制作中ですと嬉しいお言葉をいただきました。秋には栗と柿を吊るした飾り、冬にはおめでたい新春を祝う飾りなど、本に掲載された実物作品が皆様をお待ちしています。

夏のちりめん細工コーナー

  

6号館の雛まつり展も好評で皆様に喜ばれていますが、去る13日には東京の目黒雅叙園の企画担当の方4名がご来館下さいました。雅叙園には山腹の傾斜を生かして造られた『百段階段』があり、階段廊下に接して日本画で彩られた豪華絢爛な7つの部屋があります。2010年からその部屋を利用して雛人形を所蔵する日本各地の施設から雛人形を借り、「雛の晴れ舞台」と題して雛まつり展が開催されています。これまでに東北の山形地方、京阪地方、越後・信州・栃木地方と続き、今年は「九州ひな紀行」で、1月24日~3月3日まで九州各地に伝わる雛人形が一堂に展示されています。期間中は例年6万人もの来場者があり、現在では東京を代表する雛まつり展として有名です。

来年度は山陽路のひな紀行がテーマです。そのため当館に雛人形の貸し出し依頼があり、展示品の見学と撮影に来られたのです。御殿飾り、享保雛、江戸製の古今雛、昭和初期に東京の百貨店で売られた段飾り雛などが東京の「雛の晴れ舞台」に飾られることになりました。
それに合わせて来年度の当館の雛まつり展は、西室が京都と大阪で江戸時代から昭和初期に作られた雛人形、東室が全国各地の押し絵雛や変わり雛などになります。初公開の雛人形も多く、当館の雛人形コレクションの層の厚さに驚かれると思います。1年先の話ですが、東京と当館の2会場での雛まつり展をご期待下さい。

初公開の秋田市で飾られていた京都製古今雛(幕末から明治初期)

(館長・井上重義)

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