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ウミネコの飛来地・青森県八戸で特別展「世界の鳥のおもちゃ」を開催
■ 青森県の八戸市博物館で、当館所蔵資料による特別展「世界の鳥のおもちゃ」が7月6日(土)~8月25日(日)まで開催されています。その展示設営作業に協力のため、去る2日から4日まで、尾崎学芸員と共に八戸市に出かけていました。
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■ 遠く離れた本土最北端の地で「世界の鳥のおもちゃ展」が開催されることになったのは、昨年6月に文部科学省で開催された第19回全国博物館長会議での事例発表がご縁でした。私は当館の活動についていろいろと話をしましたが、そのとき出席されていた八戸市博物館の工藤館長が当館の「世界の鳥のおもちゃ展」に関心を寄せられ、実現する運びになったのです。
■実は八戸市内には全国でも数少ないカモメに似たウミネコの繁殖地・蕪島があります。ウミネコは国の天然記念物で市の鳥にも指定されており、そのような鳥とのつながりから鳥のおもちゃ展が開催されることになったのです。ウミネコの繁殖地は国内に10箇所ほどありますが、殆んどが断崖絶壁や離れ島で容易に人が行けない場所にあります。蕪島もかつては島でしたが、第二次世界大戦中に陸続きになったと聞きました。小高い山の頂上に神社があり、その周辺に2月下旬から8月上旬まで、3万羽以上ものウミネコが繁殖のために飛来します。
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■ 去る3日に、ご案内いただき蕪島を訪れました。ウミネコだらけともいえる状況で、その数だけでなく、野鳥なのに全く人怖じしないのにも驚きました。手の届くほどのところに羽根を休めていて、近づいても飛び立とうとしませんし、神社の参道の周辺でもウミネコが雛を抱き、近くを通っても動かないのです。ただただ驚くことばかりでした。このような鳥との深いつながりを持つ都市の博物館で、「世界の鳥のおもちゃ展」が開催できたことを心から嬉しく思います。
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■展示は担当の学芸員も実物大の鳥のパネルを作るなどして、いろいろと工夫をされていました。作業は順調に進み、当館の展示とは一味違った、楽しいすばらしい展示になったと思います。ぜひ一人でも多くの方がご覧くださることを願っています。
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■ 八戸といえば郷土玩具の世界では八幡馬が有名ですが、市内には約3500年前の縄文時代の遺跡からの出土資料を展示する立派な是川縄文館があり、国宝に指定された合掌土偶が展示されていました。
■蕪島から南東に伸びる海岸線もすばらしかったです。日本の渚・百選に選ばれた大須賀海岸、波打ち際まで広大な天然の芝生が広がる種差海岸。それに早朝6時に出かけた陸奥港駅前の朝市も心に残りました。食べ物もおいしく、展示作業の合間の駆け足での見聞でも、八戸の魅力が満喫できました。
■新幹線の八戸駅に降りたときの印象は、広々とした平野に点在する建物が目に留まり、一見何の変哲もない町でした。それがわずかの滞在で、心に残る町になりました。
(館長・井上重義)
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