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館長室から 2009.09.23

「人形遊びの世界」によせて 

当館の東に広がる田んぼの稲刈りが先日終わりました。当館の庭の6号館への小道には萩の花が咲き、ところどころに真っ赤な彼岸花が咲いています。
 「館長室から」は、少なくとも1ヶ月に1回は号を重ねなければと思いながら、仕事に追われてご無沙汰をしてしまいました。館の秋の企画展設営作業に続いて、先週は宮崎歴史文化館の「音と遊ぶ展」資料の撤収と門司港海峡ドラマシップでの当館監修出品による「なつかしのリカちゃ ん&ジェニー」展設営のために尾崎学芸員と出張していました。海峡ドラマシップの展示は19日から始まりましたが好評と聞き喜んでいます。天井の高い多目的ホールに展示ケースを並べての展示で、当初は皆様に満足いただけるか心配でしたが展示が終わると、洋風の雰囲気がリカちゃんとジェニーにマッチして楽しい展示になりました。

当館1号館の秋の企画展「人形遊びの世界」も、去る12日から始まりました。展示品のなかで昭和の人形遊びである文化人形、着せ替え遊び、ファッションドールなどは玩具メーカーが生産した人形であり、残る資料も少なくありません。しかし姉様人形や首人形は1点ずつ手作りされた作品であり、それらは文化財として評価されることが無かったために、古い資料で遺されたものは大変少ないのです。前号の「館長室から」でも触れましたが、当館は神戸で小児科医をされていた尾崎清次(1892~1979)先生の収集品の寄贈を受け、その中に大正~昭和初期の姉様や首人形のまとまったコレクションがあります。歳月を経た貴重な資料だけに普段は収蔵室にしまっており、今回約10年ぶりにその一部(姉様=仙台・会津・神戸・松江・松山・宇和島・熊本、首人形=山形・佐渡・淡路・徳島・松山・大洲など)を展示しました。恐らく現地の博物館でも見ることができない第一級資料です。

展示品の神戸・高砂・姫路の当地方の姉様人形は商品化されたものではなく、いずれも母から子へと伝承されてきたもので、私が40年ほど前に集めた資料です。神戸と高砂では「おかたさん」、姫路では「ぼんちこさん」と呼ばれました。姉様人形を「ぼんちこさん」と呼ぶのは全国でも例がないと思います。また呼び名だけでなく、神戸・高砂と姫路の姉様とでは顔と髪の付け方に違いがあります。同じ地方なのに、呼び名や髪の付け方に違いがあるのはなぜなのか。そんなことを考えながら見ていくと興味津々です。

姫路のぼんちこさんは、幸いにも作者が元気な頃に尾崎学芸員がその作り方を伝授されており、当館では伝承のための講習会を10月25日に開催いたします。ぜひご参加下さい。 (井上重義)

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