ありがとう、雄鷄社 | 日本玩具博物館

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館長室から 2009.05.05

ありがとう、雄鷄社

これまでにちりめん細工関係の出版で長年お世話になった雄鷄社が先月17日に東京地裁に自己破産を申請、同社は倒産しました。誠に残念で、言葉もありません。

雄鷄社からは1999年に私が編集協力して出版された『ちりめん細工で作る細工ものと押し絵』以来、私の監修で2000年に『四季を彩るちりめん細工』、2003年に『和の布遊びちりめん細工』、2004年に『ちりめん細工季節のつるし飾り』、2005年に『お雛さまと雛飾り』と5冊のちりめん細工の指南書的な本を出版。昨年暮れには『江戸・明治のちりめん細工』が出版され、その多くが版を重ねてきました。とりわけ『江戸・明治のちりめん細工』は新聞の書評などでも大きく紹介されて評判もよく、地元の姫路の書店だけではなく東京の書店でも平積みされていると聞かされ、後世に残る本として高い評価を得ていただけに大きなショックを受けました。

雄鷄社の編集担当者は佐藤周子さん。『ちりめん細工で作る細工ものと押し絵』以来、総てのちりめん細工の本を担当下さっていました。どの本も売れ行きが順調なことから、来春には原点に戻り、初心者向けに『やさしく作れるちりめん細工』の出版を検討しようということになり、先月17日午後にその打ち合わせをしました。18日の午前に「雄鷄社が倒産したのではないか」との情報が届きましたが、前日に打ち合わせをしたばかりであり、雄鷄社のHPを開いてもそのような記載はなく、信じることが出来ませんでした。しかし19日になってそれが確かな情報であることが分かり、ただただ、驚くことばかりでした。雄鷄社の編集者からも、自己破産を申請したとの情報は私と打ち合わせをした後の夕刻になって知らされ、寝耳に水であったと聞きました。長い間、ちりめん細工の再興にご理解をいただき、お力添えをいただいただけに残念でなりません。

当館としては先日、管財人に対して、在庫のあるちりめん細工の書籍の引取りと、ちりめん細工の普及にはこれらの本の再版が欠かせないので、再販についての権利などを問い合わせいたしました。実現には大きな課題があると思いますが、当館が係わってきたちりめん細工関係の本が、何らかの方法で今後も再版されるよう最善の努力をしたいと考えています。

(館長・井上重義)

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