日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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館長室から 2008.07.04

コレクションが輝くとき

6号館への自然いっぱいの石畳の小道に、可憐な水引草の花が咲き始めました。黒い色をしたおはぐろトンボも姿を見せ、優雅に飛びかって、夏の到来を告げています。
今年の夏の企画・特別展は、1号館では企画展「おもちゃの汽車」、6号館では特別展「音とあそぶ」です。いずれも当館が約30年の歳月をかけて収集した世界の玩具コレクションからの出品です。「音とあそぶ」は、去る6月21日から始まり、「おもちゃの汽車」も明日から始まります。

6号館は会場も広く、展示数も多いので展示換えには5日間ほどかかりますが、学芸スタッフ5名が尾崎学芸員の企画構成のもと、連日夜の11時近くまで作業を続ける中身が濃い、ハードな内容でした。私の主な仕事は、展示資料を収蔵庫から運び出し、前回の展示資料を収蔵庫に運び入れる作業です。しかし収蔵庫がパンク状態で、通路にまで資料の収納箱が積み上げてあるため、まずは通路の資料を運び出す仕事から始まります。総ての資料が段ボール箱に収納してあるため、時としては目的の資料を探し出すために何時間も費やすことも再三です。それだけに目的の資料を出し終わったときの満足感は大きいです。

当館の膨大なコレクションは、3号館と6号館2階の収蔵庫の他、展示ケースの下にも収蔵しており、ブリキの衣装缶が2段重ねでギッシリと詰まっています。世界の玩具コレクションは、4号館2階の展示ケースの下と6号館の2階です。6号館の収蔵庫(40㎡)は世界の玩具のほかに雛人形と五月人形も収蔵しています。世界の玩具は、クリスマス関係、音の関係、人形関係などと、各ジャンル毎に収蔵しているのですが、それだけに展示の切り口が変わると大変です。
 
今回の展示は、どちらも世界の玩具をベースにしたものですが、展示を終えて、良くぞこれだけのものを集めることができたと感慨深いものがあります。世界の汽車のおもちゃは約30カ国から65組。現在も収集可能なものをと考えましたが、1割もありません。13年前にブラジルのクリチバの日曜市で入手した汽車、廃絶したイタリア・セヴィの汽車、旧ユーゴスラビア・スペイン・タンザニアなど、どれもが手作りの温もりを持った木製の汽車ですが今となっては入手不可能です。
「音と遊ぶ」も、世界各地のでんでん太鼓、ガラガラ、笛、ブンブンごまなどの音のするおもちゃは当館でないと見ることのできない個性的なコレクションです。先日、早速に浜松から楽器の専門家が来館され、感動して下さいました。

資料の収集は私の大切な仕事です。評価されることなく今集めなければ失われる恐れのあるものを私なりに判断して集めてきたのが幸いにも時期を得て、今では収集不可能な膨大な資料の収集に成功しました。この10年間、わが国だけでなく世界中から手作りの民芸的なものが失われ、作り手も高齢化して後継者もなく、最後のチャンスでした。しかしいくら良質の材料があっても、それをどのように展示するかで資料が輝き、その館の評価につながると思います。当館は最新式設備の整った展示施設ではありませんが、学芸員に人を得て、資料が輝き、多くの皆さまの、感動の言葉が聞こえてきます。(井上重義)

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