日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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館長室から 2008.02.23

来館者に感動を与えるふたつの特別展

蝋梅に続いて、万作や椿の花が咲き、当館の庭にも春が駆け足でやってきました。本日から1号館では「ちりめん細工とびん細工展」が始まりました。いずれも長年に亘り築いてきた、日本女性の美意識を表現する当館が誇るコレクションの公開展です。

びん細工は口の狭い瓶の中に大きな手まりや糸巻き、人形、ちりめん細工が入っており、どうしてこんなに大きなものが入れられたのか、誰もが不思議がられます。びん細工は現在約80点を所蔵していますが普段は収蔵しており、約8年ぶりの公開になります。
ちりめん細工も当館での展示は2年ぶりです。昨春出版した『四季の傘飾りと雛飾り』(日本ヴォーグ社)に掲載された作品や新収蔵の古作品など450点を公開し、見ごたえのある展示になりました。1号館では通常350点ほどを展示するのですが、あれもこれもと展示するうちに総数では約500点。スタッフからも展示しすぎではとの声が上がるほど、本当に賑やかな展示になりました。
一昨日から来館者にご覧頂いていますが、「素晴らしい。楽しいです」と来館者の感嘆の声が聞こえてきます。6号館の「御殿飾り雛」の会場も同様です。このような展示ができるのも、ちりめん細工は約3000点、雛人形は約500組を超える膨大な資料に裏付けられた結果です。それらを切り口を変えて展示をしていますが、資料は現在も増え続けて、初公開のものもたくさんあります。御殿飾り雛は、幕末から昭和30年代までの歴史を追った展示ですが、御殿飾りの変遷が分かると好評です。

さて私がびん細工の手まりと出合ったのは今から40年も前です。織物の町として知られた西脇市で90歳になられる老婦人が手まりを作られていると聞いて訪ねたところ、瓶入りの手まりを作られていました。作り方を気安く教えていただき、私も手ほどきを受けて手まり入りびん細工を作りました。その秘伝を「館長室から」を訪問くださった皆様に特別にお教えします。

そのポイントは手まりの芯作りにあります。太い毛糸を丸めてまりを作るのですが、その毛糸の巻き初めを図1のように外に出してまりを作り、まりの上を薄い和紙で包み、さらに糸を巻いて下地を作ります。そのうえに色糸で模様をかがって完成させます。完成後、まりの外に出ている毛糸を引き抜くと毛糸が次々に外に出て、中が空洞になります。それを瓶の中にいれ、毛糸を抜いたまりの穴に細長い筒を差しこみ(図2)、少しずつ綿を詰めてまりを元通りに丸くします。最後にピンセットで糸を動かて穴が分からないようにして完成です。しかし糸巻きや人形などのびん細工は、どのようにして瓶の中に入れたのか。糸巻きなどは長い専用のピンセットを使って組み立てたようですが、確かなことは私自身も分かりません。
びん細工の不思議との出合いにぜひご来館ください。

(館長・井上重義)

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