日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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館長室から 2007.11.04

地域文化功労者文部科学大臣表彰を受けました

秋も深まり、4号館前のサネカズラの実が真っ赤に色づきました。
この度、嬉しいことに文化財保護に大きな功績があったとして、平成19年度「地域文化功労者文部科学大臣表彰」を受け、今月1日に東京の如水会館での表彰式に出席しました。文化庁が毎年この時期に全国各地域で芸術文化の振興、文化財の保護に尽力するなど地域文化の振興に功績のあった個人及び団体に対して文部科学大臣表彰を行い、今年度の功労者は全国で84件。個人70名(芸術文化関係39名、文化財保護関係31名)と14団体でした。この賞は都道府県教育委員会からの推薦を文化庁で選考決定するもので、兵庫県内からは他に個人で洋画家の大石可久也氏が受賞。博物館関係者としては私の他に岐阜の大松美術館館長大松節子さんが表彰されました。長年に亘る博物館活動や元香寺町文化財審議委員長としての功績が高く評価されたことを喜んでいる次第です。兵庫県知事や姫路市長など大勢の方からも祝電を頂きました。長年に亘りご支援いただいた皆様にも、心からお礼を申しあげる次第です。有難うございました。

さて当館はこの10日で開館満33年を迎えます。ここまで充実発展できたことを心から喜んでいます。私は、他館の真似をせず、大切だと思ったことを追求し、当館でないと見ることができない個性的なコレクションの構築に努めてきました。それが大きな力になり、当館のコレクションを見るため、はるばる東北・関東・九州等から、さらには海外からも来館下さるまでになりました。開館当初、私が夢に描いたのは信州の碌山美術館のように、多くの人に支えられ、高い知名度と全国から人が訪れる博物館になることでした。それが個性的なコレクションを築くことによって夢は現実のものになりました。現在開催中の世界のクリスマス展にしても約30年の歳月をかけて収集しましたが、国内では類のないコレクションです。収集の動機は世界の玩具や人形を収集する中で、海外のクリスマスが日本の正月と雛節句をミックスしたような催しであることに気付いたからです。現在収集可能なものは5割もなく、集めた時期がよかったのです。

当館が収集した資料はこれまで文化財として評価されなかった、子どもや女性に関わるモノが中心です。このような資料の収集は使命感を持つ個人館だからこそ出来たのであり、当館が収集していなければその多くが失われていました。それが輝き、当館の運営にも大きく寄与するまでになりました。現在、全国の博物館の半数が収集費ゼロ、年間予算百万円以下が四分の一と聞きます。博物館で大切なのは、人を呼び寄せ感動させる魅力的なコレクションの構築が大切なはずなのに、これでは博物館の将来に明るさが見えません。

最近、残念なのは当館より後発の、近隣の複数の公立館が玩具コレクションを受け入れ、玩具に関する展示を始めました。展示数も内容もはるかに当館が勝っているのに、後追いするかのように玩具の展示が再三開催されます。同一地域内にある館は、官も民も関係なく、それぞれが個性を磨き、特色を競いあうことこそが必要だと思います。それこそが地域の魅力を高めることに繫がるのではないでしょうか。

(館長・井上重義)

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