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館長室から 2007.04.01

『傘飾りと雛飾り』を発刊しました 

昨年来取り組んでいた『四季の傘飾りと雛飾り』が日本ヴォーグ社より発刊されました。私の監修によるちりめん細工関連の本はこれで10冊目です。内容的にはちりめん細工の傘飾りを季節毎に初級者と上級者向けに2作品を紹介し、さらに雛の季節に因んだ傘飾りと雛の飾りをまとめました。AB版、96ページ(内カラー48ページ)、定価1,500円です。これまで出版した本の中では写真もシンプルで美しく、格調高く仕上がっています。何人もの方から「見るだけでも楽しい本ですね」と嬉しいお言葉をいただきました。
この傘飾りの本は、たばこと塩の博物館で現在開催中の企画展「ちりめん細工の世界」に関連して発刊したもので、展示品の傘飾りの作り方の解説書にもなっています。

ちりめん細工は江戸時代や明治時代の裕福な階層の女性たちが作り伝えてきた手芸品です。手のひらに乗るほどの小さなちりめん細工の中には、かつては琴爪やお守り、お香などが入れられました。しかし当時とは環境も変わり、現在は各作品の完成度を高めるだけでなく、作品の見せ方が大切な時代になりました。そのことは、ちりめん細工を幾つも吊り下げた雛の「つるし飾り」に大きな関心が寄せられていることでもいえます。それに気付き、これまでにちりめん細工の柱飾りや輪島塗の棒にちりめん細工を吊るすなど、新しい飾り方を提案してきました。
今回の傘飾りは、傘が「末広がり」で目出度く、また傘の略字の「仐」が八十に見えることから長寿の祝いにも使われてきたことに注目して、当館のちりめん細工の講師の皆さまと共に、和傘にちりめん細工を吊るす飾りを考えました。

傘飾りは骨に作品を吊るすため、数多くの作品を作る必要があります。一点ずつ縫うとなれば時間も労力も大変です。そのためこの本では、スチロール玉など新しい素材を利用して簡単に作れる初心者向けの作品も発表しました。また雛のつるし飾りは収納に問題がありましたが、傘は折りたためるため、収納場所を取りません。さらに傘飾りはちりめん細工の取り外しが容易で、吊るす作品の入れ替えもできます。

傘飾り用の直径30㎝の小さな和傘は岐阜の老舗の協力を得て、従来のものに手を加えて格調高く仕上げていただきました。和傘の振興にも役立てば好いのですが。この本により、ちりめん細工の傘飾りが大勢の方に親しまれ、四季折々の生活に潤いをもたらせてくれることを願っています。書店にも並んでいると思います。ぜひ手にとってご覧ください。

(館長・井上重義)

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