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花の季節を迎えて
●4号館の北側にあるサクランボの花が三分咲きになりました。21日の春分の日過ぎにはピンク色の花が満開。やがて真っ赤なサクランボの実が鈴生りになります。これから4月中旬頃まで、当館の庭や周りには春の花々が次々に花開き、一年中で一番美しい季節を迎えます。実は当館には展示品だけでなく、「お庭の花が楽しみです。」という方が結構多いのです。その庭、手入れの行き届いた庭ではなく、四季折々に和の花が咲く自然いっぱいの庭です。
●こんな庭造りを思い立ったのは今からおよそ30年前、5号館を建てた1977年でした。私は姫路南部の港町飾磨に育ち、また当館を造ったときは神戸にある山陽電鉄本社に勤めていました。下町育ちの私は、田舎にある博物館だからこそ自然溢れた庭が相応しいと考えて、当初は山野草やお茶花類を植えました。カタクリ、タイツリソウ、ミツマタなど、ところが数十本もある椿などが大きくなると、それらの花はいつの間にか姿を消し、今は椿園さながらです。しかし同時に植えたロウバイ、土佐ミズキ、利休梅、マンサク、花桃、八重桜などが大きく成長して季節ごとに美しい花を咲かせます。
●ところで庭を造った頃、何人もから手入れをしない荒れた庭と指摘されました。が、今は違います。自然風の庭に心が癒されますといってくださる方が圧倒的に多いのです。
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●これからの季節にぜひお勧めしたいのが、4号館2階の窓からの景色です。アメリカ花水木や利休梅の花は下からよりも上から眺める方が綺麗とされているのですが、そんな花木を窓から見えるように植えています。東の窓から今はサンシュの黄色い花、ピンクの梅、真っ赤な椿のお花畑です。まもなくコブシや利休梅の白い花が眼前に広がります。北の窓は今はサクランボの花、まもなくアメリカハナミズキの花です。南の窓は4月下旬には八重桜の花が目の前に迫ります。
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●今、1号館の入り口南側には小さなアブラチャン、北側には土佐ミズキと、いずれも黄色の可憐な早春の花が咲いています。雛人形展を開催中の6号館へは石畳の細い小道を行きますが、両側にさまざまな椿の花や白いアセビの花が咲き、頭上には大きな黄色い甘夏、アンズの花のつぼみも膨らみ、足もとにも優しい貝母ユリが咲きます。
●美しい雛人形やちりめん細工の人工美に、椿の花の自然の美。この季節には「命の洗躍にきました。」と来館される方が多いのです。博物館は展示物だけでなく、雰囲気づくりも大切だと考えています。
(館長・井上重義)
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