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学芸室から 2012.03.25

菜の花のお雛さま  

昨日は旧暦の上巳の節句(じょうしのせっく=元々は3月上旬の巳の日を意味していましたが、中国の三国時代頃から、3月3日を指すようになりました)。

<ブログ「学芸室から」2008年2月29日> で一度ご紹介したことがありましたが、子どもの伝承草花遊びの中に“菜の花のお雛さま”というとても可憐な草雛があります。それを半日かけて、ご来館者に紹介してみたいと思い、昨日は、材料となる菜の花を探して、林田川、夢前川、揖保川の河川敷へ……。たくさんの菜の花の風景と出合えました。

林田川の河原は菜の花が満開。近くで遊んでいた子たちを誘って、水辺でにわか仕立ての雛人形を作ったりしながら、バケツに3杯分の菜の花を摘みました。

古代中国の上巳の節句には、草人形(くさひとがた)を作って 水辺で身の穢れを祓うことが行われていましたから、子どもの遊びの世界に伝承されてきた草でつくる人形は、大昔の節句の風習を今に伝えるものなのかもしれません。

今日は、午後の陽光が燦々と照るランプの家に長机を持ち出して、三々五々訪ねてこられる方々と菜の花のお雛さま作り…。バケツ数杯にいっぱいだった菜の花がなくなってしまったところで終了しました。かわいい!と目を輝かせる子どもたちや、素朴な風情を懐かしまれるご年配のご婦人方、中には……「今夜、ちらし寿司つくって、この菜の花雛を飾ったら、シュールでおしゃれな食卓に、旦那さまはきっと、私に惚れなおすと思います!」とにこにこ顔の若奥様もあって、とても楽しい会場でした。

豪華な衣装のお人形もいいけれど、遊び心あふれる素朴な草のお人形もいいですね。

(学芸員・尾崎織女)

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