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学芸室から 2017.12.18

今冬ふたつの「世界のクリスマス展」――神戸KIITOと日本玩具博物館・その2

今年の春、北の国へと渡っていったシロハラ――「ぽんちゃん」と名付けて親しんいた個体――が11  月下旬、玩具博物館の庭へ帰ってきました。たくさんの来館者に臆することもなく、クリスマス展会場の前庭をポンポンと跳ねまわっては、地面をつついてミミズなどを食べています。3年続けて館の庭へやってきてくれた「ぽんちゃん」の存在が私たちには愛おしくてなりません。ご来館の方々には、館の庭で一羽のシロハラを見かけられたら、「あれがぽんちゃんだな…」と目をとめて下されば幸いです。

シロハラの“ぽんちゃん”

さて、今年の「世界のクリスマス展」の内なるテーマは、自然の恵みを感じるクリスマス。
16世紀、アルザス地方でクリスマスにモミの木を飾る風習が誕生したころに想いをはせて、赤い姫りんごを飾ってみたいと思っていたところ、仏蘭西菓子の研究者・三久保美加さんのご紹介で、青森県黒石市のりんご農家・今智之さんがかわいい姫りんごをたくさんお送り下さいました。 1号館の囲炉裏のそばのドイツのツリー(120㎝)に飾っているのですが、傍に寄るとふんわりと甘い香りが漂ってきます。豊かな実りのイメージを感じさせる美しいクリスマスツリーだと来館者の皆さんが長い時間、足をとめ、しみじみと眺めておられます。三久保さん、今さんに心より感謝申し上げます。

姫りんごをつるしたクリスマスツリー

先の<ブログ「学芸室から」11月5日>でもご報告しましたとおり、今冬はいつもの6号館と神戸会場(デザイン・クリエイティブセンター神戸KIITO)の二箇所でクリスマス展を開催しています。土・日曜日には各会場で展示解説会やオーナメントを作る講座などを開いてご参加の皆さんとクリスマス・アドベント(待降節)を楽しんいます。

KIITO会場では、11月26日(日)に「きりがみの星飾り」、12月10日(日)に「デンマーク風ハートのオーナメント」、12月16日(土)に「ノルウェーのニッセ」をそれぞれ手作りする講座を計画し、ギャラリー・トークと合わせてお楽しみいただきました。
玩具博物館で20年余り、積み重ねてきた活動を神戸でご紹介するものという位置づけでしたが、3回、すべてにご参加下さった方もあり、また「毎年、神戸でこのような講座を開いてほしい」という感想も多く聞かれ、一年限りの博物館活動の寂しさを感じるところでもあります。

KIITOクリスマスの催し案内・・・原田学芸員のデザインです!

3日間の様子を画像でご報告いたします。

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日本玩具博物館でも恒例の展示解説会やクリスマスオーナメント作りを開催しています。展示品の中から、毎年、ひとつかふたつ、各地の伝承的なオーナメントをとりあげ、素材や形の意味を考えながら手作りしてみる講座です。今年はドイツや北欧で愛されるまつかさを使ったツリー飾りをご紹介しました。ヨーロッパのクリスマスオーナメントの素材には木の実やまつかさなどがよく使われます。クリスマスは古来、自然の豊かな恵みに感謝を捧げる祭礼であり、木の実やまつかさなどは、まさに森の恵みを象徴するものであったからです。

12月17日は、博物館学を学ぶ学生さんたちが参加され、瑞々しい感性がクリスマス展会場に満ちた一日でした。当日の様子を画像でご報告いたします。

12月17日、展示解説会風景

                           (学芸員・尾崎織女)

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