日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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学芸室から 2011.05.14

“ちりめん細工”初夏の館外展~日本絹の里へ出張します~

風薫る五月、皆さまにはいかがお過ごしでしょうか。この度の大地震から2カ月余。多くの行方不明者を抱え、様々な問題を抱えながらも、被災地の皆さまが少しずつ前へ進んでおられる様子を伺い、尊敬の念でいっぱいになります。また、様々な分野で、 直接的に、間接的に、本当にたくさんの復興活動が行われていることを知るにつけても胸が熱くなってまいります。

4月初め、文化庁が、被災地域の教育委員会や関係団体と連携して、美術工芸品等の動産文化財を中心に“文化財レスキュー事業”をたちあげたと知らされました。文化庁のホームページには、「被災した文化財をまずは緊急避難させ、その後、関係者の叡智を結集して、救援した文化財や被災した建造物等の不動産文化財等の修理・保存を行ってまいります。文化財は、地域の人々の心の支えと連帯の象徴となっているものもあり、これらの復旧が早期に行われることによって、被災地に明るい笑顔を取り戻す一助となればと考えています。………」と、文化長官のメッセージがあがっています。
http://www.bunka.go.jp/bunkazai/tohokujishin_kanren/chokan_message.html

その文化財レスキューを進めていくための寄付の協力願いを受け、博物館施設の一員として名前を連ねる私たちも、4月から、館内に義捐金箱を設置しています。ご来館者、友の会の方々、業者さん、スタッフたち…、日々、桜色の小箱の中にお志を入れて下さっています。先日は、友人から、5月7日の日本経済新聞の文化欄に“被災文化財 保全への苦闘”という記事が出ていたとメールをもらいました。「余震が続く中、大きく傾いた土蔵から命がけで古文書や古道具、陶磁器、屏風絵などを救い出すNPOスタッフの活動などが紹介されていて、心をつき動かされました。」と、彼は、私たちの館の義捐金箱に志を送ってくれました。ありがとうございます。5月末日には一度、(財)文化財保護・芸術研究助成財団の口座へ送金させていただきますが、その後も桜色の小箱は設けております。趣旨に賛同して下さる方は、最寄りの博物館施設、また財団へ直接、ご協力をお願いいたします。

さて、黄金週間、学芸室では、多くのご家族連れをお迎えしながら、館外展の準備を進めていました。トップページでもご案内いたしましたように、来る5月28日(土)から7月11日(月)まで、群馬県立日本絹の里で「ちりめん細工の美~四季の傘飾りを中心に~」という展覧会を開催いたします。日本絹の里は、繭や生糸に関する資料や絹製品などを展示し、絹を使った染色体験などを行い、絹をとりまく文化と蚕糸技術の継承にとりくむ博物館施設です。企画展は、2007年秋、2009年初夏に続いて3回目となり、先方のスタッフの皆様とも親しく作業を進められる間柄です。

本展は、当初、秋に予定されていたのですが、この度の震災による影響で、先方の企画展スケジュールに変更が必要となり、急きょ、会期が前倒しとなったため、少々、企画内容を変更することとなりました。今回は、日本玩具博物館ちりめん細工研究会のメンバーが平成20年以降に制作した傘飾り作品を、大小取り合わせて30点ずらりとお目にかける他、昨春、愛知県一宮市のお細工物収集家・米津為市郎氏より寄贈いただいた“きりばめ”細工の袋物(明治末~大正時代)を中心に、新収蔵の古作品をご紹介しようと思っております。すでに展示シミュレーションや梱包の作業も終了し、送り出しを待つばかりとなりました。


オープンの日には館長と尾崎の講座を予定しておりますし、また会期中には、当館ちりめん細工の会講師の南尚代さんの講座が2回予定されておりますので、この機会にぜひ、ご受講下さい。また、ミュージアムショップからは、当館の“古風江戸ちりめん(正絹)”や書籍などをお送りする予定ですので、ちりめん細工を愛好される皆さまには会場で材料をお求めいただくこともできます。
ちりめん裂の風合いと四季折々の小さな袋物、華やかな傘飾りが構成する展示室には、それらを小さな針目で縫いつなぎ、無心に製作したたくさんの女性たちの力がこもっており、独特のやさしい世界がつくられることと思います。この度の大地震で被災され、不安と不自由の中に暮らしておられる北関東地方の皆様の心を少しでも明るく照らすような展示となるよう努めてまいりたいと思っています。どうかご期待下さいませ。(尾崎織女)

<後記>
展示作業を終えて帰館いたしました。とても華やかな展示に仕上がり、ほっとしています。展示室の様子を少しご覧いただきます。(5月31日)

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