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学芸室から 2010.12.04

クリスマスのワークショップ*麦わら細工の山羊

古代、北半球の人々は、新たな年を迎える節目を「冬至」と考えていました。冬至に一度、死んでしまった太陽は、この日を境に、再び生命を盛り返していきます。冬至の日から2、3日後の日々を「永遠の太陽の誕生日」「太陽の祝日」と呼ぶ民族も多くありました。とくにスウェーデンやフィンランドなど、北欧の国々では、太陽の再生を祝して盛大な祭礼を行ったようです。新たな年の豊穣を司る神々や主神オーディン、あるいは雷神トールなどには、動物の犠牲(いけにえ)やたくさんの食べ物が捧げられました。ここに、“イエスの降誕際”としての「クリスマス」が溶け合い、北欧では、「ユール」という名の、この地域独特のクリスマスが祝われるようになったのです。

北欧のユールには、麦わらという素材がとても重要です。ユールが近づくと、農村部などでは、家の屋根や戸口に麦の穂束がつけられたり、麦わら細工のオーナメントが窓辺に飾られたりします。麦わらには実りをもたらした「穀物霊」が宿ると信じられ、家畜小屋に置いて動物たちの守りとなり、畑にまけば新たな年の豊作をもたらしてくれるといわれます。

麦わら細工のヤギ(スウェーデン・ストックホルム)


当館のクリスマス展、北欧のクリスマスのコーナーではたくさんの麦わら細工のオーナメントをご紹介していますが、中でも、目をひくのが大小の山羊たちです。北欧の人たちは、麦わら細工の山羊「ユーレ・ボック」をみれば、ユールを思い起こすといいます。ユールに山羊が登場することには、かつて、この季節になると、豊穣のシンボルである山羊が大地の女神に捧げられていたことに関係がありそうです。

今冬のワークショップでは、この「麦わら細工の山羊」を取り上げました。スウェーデンやデンマーク、フィンランドなどで作られている麦わら細工を参考にして、私どもが小さな山羊づくりをご紹介するのは、今回が初めてです。

見本に製作した小さな麦わら細工の山羊


本日は、午後から約20組の方々が麦束を縛ったり編んだりする作業に没頭し、個性的で可愛らしい作品が出来上がりました。町内の農家の方から頂戴した小麦わらは、今年、気温が低く、雨の多い梅雨を過ごしたせいか、いつもより堅くて、糸で縛っていく作業が少々難しかったのですが、お酢を加えたぬるま湯に一昼夜あまり浸けこんだ麦わらは、ずいぶんやわらかく粘りも出ていて、皆さん、いい作品を作って下さいました。



麦穂をひげに見立てた立派な雄ヤギ、脚を前後に広げて今にも駆け出しそうな山羊、角をくるりと巻いたおしゃれな山羊、角をピンとたてたトナカイのような山羊………。小学1年生の子どもたちも、手づくり大好きな大人の皆さんも、1時間半ほどかけて、素敵な作品を仕上げていかれました。

参加者の皆さん作のヤギたち


今日、ご紹介したのは高さが12cmほどの作品でしたが、「作り方がわかったので、今度は大きな山羊作りに挑戦したい」とか、「毎年、ひとつずつ、いろんな種類の麦わら細工を作って何年もかけてクリスマスツリーを賑やかにしたい」とか……、参加者の皆さんは、とてもうれしいことを話し合いながら帰っていかれました。ご参加いただいた方々、楽しいひとときをご一緒して下さりありがとうございました。
作り方を画像で少しご紹介いたします。


毎年、このようなクリスマス飾りを取り上げ、作りながら、その意味や歴史についてもご紹介してもまいりますので、また来年のワークショップもご期待下さいませ。(尾崎織女)

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