日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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学芸室から 2017.10.02

「世界の民族楽器と音の出るおもちゃ展」の秋

6月から開催している特別展「世界の民族楽器と音の出るおもちゃ展」は、音楽の秋を迎え、特に楽器好きの皆さんにご好評をいただいております。

去る10月1日は、中国笛奏者の寺田瑞穂さんをお迎えし、1時30分からと3時からの2回を設定して、「中国大陸の笛・形と音色」と題する展 示室ライブを開催しました。笛子(曲笛・梆笛)、口笛、巴烏、洞簫、排簫、塤、葫蘆絲など、中国の民族笛のお話を伺いながら、それぞれの音色を楽しめる中国曲を演奏いただくという企画です。
会場の皆さんには、曲のテーマに合わせて、鳩笛やカッコウ笛、ふくろう笛、ニワトリ、ウグイス笛、シンギングバード、木魚に鈴にと、いろんな発音玩具を手に即興で演奏にご参加いただいたのですが、時にそれがとても楽しく面白く、奏者の寺田さんが笑って一瞬、吹けなくなるひと幕も…。
瓢箪(ヒョウタン)を使った雲南省の民族笛「葫蘆絲(hulusi)」の仲間として、インドやスリランカでヘビ使いの笛として知られるプーンギをご紹介したり、中国古代の素朴な土製のオカリナ「塤(xun)」につながるものとして、日本の弥生笛を紹介したり、また「洞簫(dongxiao)」の兄弟として日本の尺八をとりあげたり…と、展示品を取り出すことでアジアのつながりや民族の求める音の独自性についても親しく感じていただけるひとときをつくれたのではないかと思います。

寺田瑞穂さんは、保育や幼児教育を学ばれていた学生時代から日本玩具博物館を愛し、親しくお付き合いいただいてきた方。上海で出合った笛子(dizi)の独特の音色に魅せられて笛子を始められ、20年以上に亘って編成の大きな楽団活動と併行して様々なジャンルの奏者とともに広く演奏活動を行い、また中国笛の指導もなさっておられます。寺田さん、心のこもった演奏とお話、ありがとうございました。ご参加くださいました皆様には楽しく楽曲に参加くださり、心より感謝申し上げます。


昨年9月から日本経済新聞土曜日夕刊の「モノごころヒト語り」と題するコラムにひと月1回のペースで玩具のあれこれを書かせていただい  ております。長野県松本市におもちゃ工房を構える小松つよしさんが作られる「リスの森のころる」の音色が大好きで、赤ちゃんのお誕生祝いに差し上げたところ、ママと赤ちゃんがとても喜んで下さったことから、前回は「がらがら」をとりあげました。古代インダス文明や古代ギリシャ時代の遺跡からも出土するがらがらの長い歴史のこと、近世ヨーロッパのがらがらの材質に秘められた呪術性のこと、もっと触れたいこともあったのですが、論点をしぼってまとめるのはとても難しい・・・。もしよろしければお読みくださいませ。

小松つよしさんの「ころる」
日経新聞土曜日夕刊9月30日付


「世界の民族楽器と音の出るおもちゃ展」では、世界各国で作られれた130点のがらがらを展示中です。―――来週の日曜日は、これらの造形を見つめ、世界の国の人たちが子どもたちのために作る音色に耳を傾けてみる、そんな解説会を開きたいと思っています。

世界のがらがら展示コーナー(一部)

(学芸員・尾崎織女)

                        

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