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学芸室から 2010.08.09

<見学レポート>房総の村の七夕馬

今年の八月七夕は、関東の“七夕馬飾り”について知りたく思い、「千葉県立房総の村」という体験型博物館へお邪魔していました。―――八月に入ると、下総地方、上総地方、安房地方、それぞれの典型的な農家を移築復元した施設の中で、各地域に伝承される七夕飾りが行われています。関東地方の農村部にみられる七夕飾りの多くが、チガヤやマコモを使って、馬や牛を作り、野菜や果物をお供えして七夕を祝うというものです。

8月7日、房総の村のなかの“安房地方の農家”において、マコモを使った七夕馬づくりを体験させていただきました。手作りの馬や牛は、特徴をよくとらえて単純素朴。青々としたチガヤやマコモは、夏から秋へと続く日本の伝承行事に欠かせない植物であったこと、清々しい手触りのチガヤを麻紐でキュッキュッと束ねながら実感しました。伝承者から各地方のお話を伺いながら、素朴な祈りの造形を掌の中で楽しむひとときは、なんと幸せな心持ちになることでしょうか。

安房地方の七夕馬の伝承者

千葉県をはじめ関東地方の農村で、七夕に馬(や牛)を作るのは、農作業を共にする家畜をねぎらい、秋の実りを予祝するため、あるいは、お盆に帰ってくる祖霊の乗りものを用意するためだと言われます。この地方においては、昭和時代に入るまで、七夕が“星祭”であると考える人たちはとても少なく、七夕の日は、お盆の一週間前“七日盆”というとらえ方が一般的だったと伺いました。

下総地方の七夕馬

祈りに結びついた造形が、かつての意味を失って消えていくのは宿命的なことかもしれませんが、暮らしの文化遺産として守っていくのは努力次第で可能なこと。千葉県立房総の村のような施設があること、そこで四季折々、体験的に暮らしの文化を再現されていることに敬意を感じ、私たちの館もできことから…と勇気づけられました。(尾崎織女)

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