夏への展示替え・その2~KIITOの夏展示~  | 日本玩具博物館

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学芸室から 2017.06.17

夏への展示替え・その2~KIITOの夏展示~ 

麦刈りが終わり、水田が広がる香寺町の風景をあとに、先週は、学芸スタッフ揃ってKIITO(デザイン・クリエイティブセンター神戸)で開催中の「TOY&DOLL_COLLECTION」を夏バージョンに展示替えする作業に没頭しておりました。KIITOの夏は、夏の神戸らしく、また子ども達の夏休みに合わせて、「神戸人形展」と「世界の乗り物玩具展」をご覧いただきます。

世界の乗り物玩具コーナーの展示ケース天井には、雲に見立てた縮緬の白生地を四海波のように飾り付けました。1995年、日伯修好100周年記念行事の一環でブラジルの三都市を巡回する「日本の伝統玩具展」を体験させていただいたことは私の人生の一大イベントの一つなのですが、クリチーバ市の会場を担当された造作デザイナーが広い会場を優しくまとめるためにと提案して下さった絹織物の飾り付けに感動し、それがずっと心に残されていました。いつか玩具展で羽衣のように縮緬の反物をつかってみたいと思い続けていたことが、本当にささやかなのですが、今回叶えられてとても嬉しいです。

1995年ブラジル・クリチーバでの「日本の伝統玩具展」会場風景
KIITO「世界の乗りもの玩具」展示コーナーにもちりめん布を

神戸の皆さんをずいぶんお待たせして6月14日にオープンした神戸人形展―――こちらのコーナーには、明治中期の創始期から現代まで、300点の資料がずらりと登場しました。その昔、神戸港から海外へと旅立ち、流転を経てまた神戸へと里帰りした品々、懐かしきポートピア’81時代の品々が豊かに並んでいます。何度かの廃絶危機を乗り越え、今に受け継がれた神戸人形のユニークきわまりない歴史と造形感覚をたっぷりお楽しみいただけると思います。彼らをよく知る方々と特別の出会いを果たしてくれるのではないかと期待しています。神戸人形にまつわる思い出話なども来場者からお聞かせいただけたら嬉しく思います。

神戸人形、300点を時代や作風の移り変わりを追って展示しています

夏の展示をオープンさせたあと、神戸人形の作者であるウズモリ屋・吉田太郎さんご夫妻の工房をお訪ねしました。6月25日の午後2時か  ら、KIITOの「TOY&DOLL COLLECTION」で開催する講座をどんなふうに進めようかという打ち合わせもかねて。吉田さんご夫妻とお話ししていると、歴代の神戸人形の姿形や文字資料からのみ接している私どもとは違って、材質や彩色方法やからくりにおける特徴などを手掛かりとして、“つくる”側の視点から明らかになる世界があるのだと気づかされます。人形劇美術を専門とされる吉田太郎さんならではのアプローチがとても面白く、25日は内容の豊かな講座が開催できそうです。

アトリエの吉田太郎さん

当日は、神戸人形の部品や製作過程、形決めに欠かせないゲージなどもお持ちいただきますので、完成された品々のバックヤードを感じていただけると思います。6月25日(日)、午後2時からの「神戸人形講座」――ぜひご予定くださいませ。吉田さんの誠実なお人柄と神戸人形の魅力に接していただけると思います。

(学芸員・尾崎織女)

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