日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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学芸室から 2009.01.12

戦前戦中の中国玩具~尾崎清次コレクションより    

新しい年を迎え、皆さまにはいかがお過ごしでしょうか。今年、35回を数えた新春恒例の「全国凧あげ祭り」も天候に恵まれて無事終了し、元気いっぱい日本玩具博物館の2009年が始まりました。

学芸室は、年明け早々、かねてより交流のある天理参考館より学芸員の方々の訪問を受け、当館が所蔵する戦前戦中の中国玩具コレクションをお目にかけました。300点を超えるそれらのコレクションは、小児科医師にして郷土玩具のコレクター、児童文化の研究者としても知られる尾崎清次氏(1893~1979)から寄贈を受けたものです。(尾崎氏蒐集の玩具については、このホームページでも折に触れてご紹介しています。)

久々に登場した戦前の中国玩具(不倒娃々)
産地や作者名、蒐集した人名を表わす印などが、玩具の底面
 に示されています。

中国における郷土玩具(民間玩具)は、文化大革命(1966~1976)とその後の混乱期を経て、ほとんどすべてのものが失われ、1980年代になって国家保護の下、産地や個人が復活させた人形や玩具だけが世界に知られています。ですから、日本に残された戦前戦中の中国玩具コレクションは非常に貴重です。

天理参考館は、大阪の財界人にして趣味家であった岸本五兵衛(1897~1946)氏が蒐集された数多くの玩具コレクションを所蔵しておられ、その中には戦前戦中の中国玩具が含まれています。同館の担当学芸員の方々は、日本人蒐集による戦前の満州玩具(特に中国東北部=遼寧省、黒龍江省、吉林省)について調査研究を進める中で、同時代を生きた故・尾崎清次氏のコレクション内容に興味をもたれ、今回の訪問となりました。

尾崎氏の蒐集の目的や関心についてお話ししながら、ひとつひとつの玩具を手にとって作品の色や形をご覧いただくとともに、玩具の後ろや底面に書かれた文字や商標、印やシールなどの情報も引き出していきました。
各地の博物館が所蔵されている同時代の資料と照らし合わせて産地や作者などを同定しつつ、当時のコレクターたちの交流を明らかにし、満州やアジア諸国の郷土玩具に関心が持たれた当時の時代性をもさぐっていけるのではないか、と示唆にとんだお話を伺うことが出来、非常に充実した時間となりました。

尾崎清次氏のご遺族からコレクションの寄贈を受けたのは昭和63(1988)年のことですが、同氏が生涯をかけて集められた資料の質は重く、量は膨大で、また広範囲に及ぶため、未整理の分野もまだまだ残されているのが現状です。
久しぶりに光に触れた中国古玩具の数々。この機会に整理を完了しようと思い、凧あげ祭りの準備の合間を縫って、大急ぎで「尾崎清次・中国玩具コレクション」所蔵カード集を作りました。あらためて撮影し、文字情報などをチェックしていく中で、これまで見落としていたものを数多く発見することが出来ました。

小さい画像で恐縮ですが、戦前満州の「不倒娃」「不倒翁」と呼ばれる起き上がり小法師たちです。子宝祈願や春節(正月)の祝いとも結びつき、満州の人々の間に息づいていたこれらの品々は、それぞれに風格のある愛らしさを漂わせています。

産地(作者)は、上左から=遼寧省営口/遼寧省営口/遼寧省荘河・于王民作/遼寧省荘河/遼寧省荘河市青堆子・劉本立作
下左から=黒龍江省北安/黒龍江省北安/吉林省吉林/吉林省吉林/遼寧省遼陽


当館では本年もまた、館内外でたくさんの企画展を予定しておりますが、その仕事の空き時間と整理場所をしっかり押さえつつ、未整理の玩具コレクションをひと山でも多く、カード化していくことを本年の私の課題としたいと思っています。

なお、天理参考館(天理大学附属天理参考館)のホームページはhttp://www.sankokan.jp/ です。玩具や人形についても、貴重な資料を数多く所蔵しておられますので、ぜひ、お訪ねに下さいませ。(尾崎織女)

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