日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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学芸室から 2007.08.19

夏のおもちゃ館だより1

お盆を過ぎても去らない暑さの中、皆さま、お元気でお過ごしでしょうか。猛暑お見舞い申しあげます。お盆の一週間、7月から断続的に開催してきた「夏休み面白おもちゃ教室」をお休みさせていただき、私たちは、9月13日から日本・モンゴル民族博物館(兵庫県豊岡市但東町)で開催される企画展「世界の鳥~その色と形~」の準備作業に、汗をふきふき、没頭していました。

展示シミュレーション風景・コウノトリとヨーロッパのおもちゃのコーナー

モンゴル博物館のある豊岡市は、ご存知のように、コウノトリの町として有名です。世界の鳥の玩具の中には、コウノトリを題材にしたものもヨーロッパなどに見られることから、コウノトリをはじめ、世界の鳥の造形物や玩具の色々を紹介しようという企画につながりました。鳥の種類別、地域別、それから鳥の玩具の機能別(動く仕組)に展示構成することとし、いつものように、展示ケースに見立てたスペースの中でシミュレーションして展示空間を鳥たちで埋めていきました。
お盆明けの17日には、モンゴル博物館の学芸スタッフが来館され、一緒に梱包作業などを行い、無事に約300組の資料の搬出作業を終えたところです。

ヨーロッパの国々で、コウノトリは新婚夫婦のもとへ赤ちゃんを運ぶと信じられているため、玩具のコウノトリも、亜麻布に包まれた赤ちゃんをくわえていたり、背負っていたり…と面白いものが見られます。会場には緑の木々も登場し、コウノトリやカモメ、オウムなどのモビールも数多く展示される予定で、様々な鳥のさえずりが聞こえてきそうな展示室になることでしょう。コウノトリの町で開催される世界の鳥の造形展は、私たちのおもちゃ館での展示とは、またひと味違ったものになると思いますので、どうぞご期待下さい。会期は、来る9月13日から12月4日までです。

コウノトリのモビール(チェコ)も出品します

鳥の玩具たちを送り出した後は、梱包作業場を講座室に模様替えして、夏休みおもちゃ教室を再開しました。今日は日曜日。11時、14時、14時30分の3回、「作りたい人、この指とまれ!」と呼びかけ、江戸時代のおもちゃ「かくれ屏風」を作りました。講師は館長と学芸スタッフのもちまわり。14時からの部には、ヨットでセーリングしながら世界を旅しているというフランス人家族も大喜びで参加されました。

夏休みおもしろおもちゃ教室「かくれ屏風」作りの様子

「かくれ屏風」は、安永2(1773)年に出版された玩具絵本『江都二色(えどにしき)』や、嘉永6(1853)年に上梓された風俗誌『守貞漫稿(もりさだまんこう)』にも紹介された江戸時代の人気玩具です。
数枚の板が布や紙の帯でつながっていて、屏風のたたみ方、開き方によって模様が消えたり、現われたりするカラクリが人気の秘密。そして、例えば「ちちんぷいぷい…模様よ、消えろ!」とオマジナイをかけるなどして、相手に屏風の開き方を気付かれないようにするのが、遊び方のコツですが、この素朴な玩具は、電子ゲーム時代の現代にあっても、小さな子も大きな子も、大人だって驚きの笑顔に変えてしまう不思議な力を秘めているのです。

ヨーロッパ圏では、同じ仕組の玩具が「ヤコブの梯子(Jacob’s ladder)」と一般的に呼ばれており、当館でも十数カ国のものを所蔵していますが、教室にご参加されたフランス人は、「日本のものは、模様が付けられているので、とても面白い!」と拍手して下さいました。

ぎらぎらと照る太陽の中、庭に繁茂する緑を背景に、真っ黒に日焼けした子どもたちの賑やかな声が響き渡る・・・・いつもどおりの夏休み風景が繰り広げられるおもちゃ館です。それにしても、今年の8月は、温帯ばなれした暑さですね!

(学芸員・尾崎織女)

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