日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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学芸室から 2005.10.09

どんぐりゴマを回そう!

🍁今日は、「どんぐりゴマ大会」の日でした。兵庫県下の博物館施設などで同時開催する大会で、会場となる施設は、クヌギ、アベマキ、カシなど、たくさんの種類のどんぐりを用意して参加者を待ちます。参加者は、どんぐりのお尻に錐で孔をあけ、爪楊枝をさしてコマを自作した後、子どもも大人も一緒になって回る時間の長さを競います。

今年は豊作!アベマキやクヌギのどんぐり

🍁「ヨーイ、ドン!」  私たちスタッフも、ストップウォッチをもって、小さなどんぐりゴマの回転を見つめます。最初、あちこちに動いて暴れまわっていたコマがやがて一点に落ち着きます。まるで止まっているかのような静かな回転、「コマが澄む」といわれる美しい時です。「15秒経過……20秒経過…………30秒経過……」  再び中心軸が揺れ始めるといよいよ終盤。コマは踊りながら転び、名残惜しそうに静止します。「39秒12!」

回るまわるどんぐりゴマ

🍁「30秒がこんなにたっぷり長いとは、今まで気付きもしませんでした。何だか幸せな気分ですね。」 そんなふうに明るい笑顔で話すお父さんがありました。普段の慌ただしい暮らしの中で、「30秒」とは無いに等しいぐらいの時間です。けれども、コマの回転を見つめ続ける30秒は、ゆっくりと豊かに流れます。どんぐりゴマは、そんなふうに、たった30秒で人の心を開放し、気分を変える力があるのですから、まるで魔法の道具です。

🍁コマは有史以来、人間とともにあり、何千年の時を生き抜いて今日に伝わっています。古代エジプトやインダス川流域、古代ギリシャの遺跡などから様々な形のコマが出土しているのです。そして、今も世界中の国々で、骨、土、木、竹、木の実、種、貝殻など、身近にある素材からコマが作られ続けています。アジアやオセアニア、南米のような湿潤な地域でコマの原型をたどれば、どんぐりをはじめとする木の実のコマにいきつくでしょう。落ちた木の実が風に吹かれてクルクル回転する、そんな不思議な動きに霊感を得て、我々の祖先はコマを創造したのでしょうか?

世界の木の実子ア(左からブラジル・パプアニューギニア・インドネシア・日本)

🍁パプアニューギニアに伝承されるどんぐりコマは、日本のものよりずいぶん大きいのですが、中身が削りとられ、小さな孔が開けられているため、回転を与えると、ウーンと小さな唸りをたてます。かつて、人々はこの音を自然界のメッセージ、あるいは、自然神の心音と受けとめていたのだといいます。

🍁自然素材のコマは、放置すればほとんどの場合、土に還って跡形もなくなりますが、原始のコマのカタチと意味は遊びと伝承の中に保存され続けます。実りの季節、人間が何千年の時を経てコマを淘汰しなかった理由に思いを巡らせつつ、古代の人たちと同じ眼差しでどんぐりコマを回してみるのはいかがでしょうか?

🍁  ちなみに、本日の「どんぐりゴマ大会」、県下での優勝者タイムは1分25秒00でした。驚異的な長さです!!(尾崎織女)

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