愛・地球博を訪ねて  | 日本玩具博物館

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館長室から 2005.10.01

愛・地球博を訪ねて 

9月20日と最終日の25日に地球博を訪ねました。地球博の海外館の状況視察と出展品の入手が目的でした。筑波万博も大阪花博もそうでしたが、今回も映像やパネル展示が中心で、暮らしぶりが解るような民芸品や実物資料を展示している館はあまり多くはありませんでした。

「自然の叡智」がテーマなので、私はそれぞれの館で自然素材を巧みに利用して作られた伝統的な民芸品との出会いを期待していただけに、少し残念でした。我田引水になりますが、当館が所蔵しているようなインドネシアの木の葉凧、パプアニューギニアのドングリこま、ブラジルの骨の笛、メキシコの椰子の葉のガラガラ、北欧などの麦わら細工、といった自然素材で作られた実物が展示されていれば、人々にもっと興味と感動を与えられたのではないかと思いました。と同時に、当館が約30年の歳月をかけて集めた海外の玩具や人形などの資料の価値と重みを改めて認識した次第です。

当館所蔵の海外資料は、現在145か国から3万点にも及びます。これらは現在、プラスチック製品の出現や中国製の安価なコピー商品が出回るなかで、世界中から急速に姿を消している自然素材のモノが中心で、今後このようなコレクションを構築することは不可能だからです。世界の主な玩具博物館を見学し、情報を得ているので言えるのですが、恐らく世界でも珍しい貴重な資料であると思います。

小さな町の私立博物館が築いた「世界の玩具文化コレクション」が、いつの日か高い評価を受け、世界的にも認められる日が来ることを、夢見ています。

最後になりましたが、地球博での展示品の何点かが当館のコレクションに加わりました。「アフリカのおもちゃと造形展」に、スーダン、モーリタニア、アルメニアの人形たちを加えてご紹介しています。

(館長・井上重義)

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