日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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企画展

夏の企画展 「世界乗りもの玩具博覧会Ⅰ~海の乗りもの~」

会期
2010年6月12日(土) 2010年9月14日(火)
会場
1号館

今夏は、日本玩具博物館の「乗りもの玩具コレクション」の中から、海の乗りもの、陸と空の乗りものを展示し、世界の乗りもの玩具のユニークな色と形をご紹介します。
1号館では、世界約50ヶ国から特徴ある船の玩具、約300点を集めて、時をこえ、国境をこえて愛される船の玩具の魅力を探ります。

船は、人間がつくった乗りものの中でも、最も古い歴史をもっているといわれます。玩具の船もまた、遠い昔から身近にある素材で様々なものが作られてきました。木の葉や木の皮など、自然物を利用した船の玩具は、日本の子ども達が遊びの中で伝承してきたものであり、驚くほど古い歴史を持っています。大人達もまた、仕事の合間に、身近にある船をまねて、子どもの喜ぶ小さな船を作りました。運輸の船、漁業の船、祭礼の船などを模して作られる玩具の数々は、各地の船の特徴や人々の暮らしを伝えています。

また、世界の船の玩具をみわたすと、ただ水に浮かべるだけでなく、ゼンマイ、ゴム、ロウソクの熱、さらに電池を利用するなど、水上を走らせる仕掛けに工夫がこらされているのがわかります。それぞれの玩具に込められた知恵は、子どもたちの心に科学的な視点を育んでいきます。

本展では、日本、アジア、オセアニア、アメリカ、ヨーロッパにわけて民族色豊かな船が登場しますので、小さな玩具を通して、世界各地の海を航行している船の形をお楽しみいただけると思います。

展示総数  約300点

アジアの船 展示風景 ~ヤンバル船(沖縄県/1930年代)

①アジアの船のかたち

 台湾の竹筏やタイのサンパンのように、古代の舟の形をとどめるものや、中国のジャンクのように発達した帆船の形を示すものも見られます。トビウオ漁に使われる台湾のタオ(ヤミ)族のカヌーやバリ島の漁船、アウトリガー・カヌーなどは、船の模様に豊漁への祈りが込められた美しい船です。

ジャンク(中国/1980年代)
タオの人々のカヌー(台湾・ランショ島/1960年代)
ダブルアウトリガーカヌー(インドネシア・バリ島/1980年代)

②オセアニアの船のかたち

太平洋の海に浮かぶ島々には、交通や漁業のための船が古代より発達し、今に生き続けています。西サモアやフィジー、キリバス、ニューギニアなどでは、荒波にも安定して航行できるように、副船をつけた古代船(アウトリガー・カヌー)が見られ、この地域の特徴となっています

シングルアウトリガーカヌー(タヒチ)

③アメリカの船のかたち

 氷に閉ざされた北部アメリカのカヌー、湖に浮かぶペルーの葦船、メキシコ先住民の作る刳り船(くりぶね)、あるいは大西洋をいくブラジルのジャンガーダなど、風土に根ざした個性豊かな船の形が見られます。

白樺の皮のカヌー(北部アメリカ)
中南米の船 古代の船のかたち 展示風景

④ヨーロッパの船のかたち

 他地域の船の玩具が、例えば船乗りが守護神への感謝のしるしに奉納する信仰的なものであったり、観光土産的な要素を含んでいるのに対し、この地域の展示品のほとんどは、子どものための玩具です。ゴムしかけの外輪船、風で動かす帆船の他、引き車やモビールになった船も見られ、子どもの夢を結びます。

ヨーロッパの船 展示風景

⑤アフリカの船のかたち

 櫂(かい)で進むくり船が、古代から続く素朴な川船の形を示す一方、タンザニアのダブルアウトリガー・カヌーなどは、海のルートでつながるアジアや大洋州地域との深い関係を知らせています。

くり船(コンゴ/1980年代)
アフリカの船 展示風景

*伝承草花遊びの舟

 うなゐこが ながれにうくる 笹舟の とまりは冬の 氷なりけり(『夫木和歌抄』/1310年頃より)

 中世の頃に編まれた『夫木和歌抄』には、このような歌が残されています。「うなゐこ」は幼い子どものことです。今から700年前の子どもたちはすでに「笹舟」を水に浮かべて遊んでいたことがわかります。

 身近にある自然物から作られる玩具は、昔々から伝承されて、時代時代の子どもの心をとらえ続けてきました。ここでは、「笹舟」「松の木皮の舟」「烏賊(イカ)の甲羅の舟」など、素朴な手作りの船玩具を紹介します。

そら豆の莢の舟・笹舟・イカの甲羅の舟

*懐かしい日本の船

 このコーナーでは、懐かしい日本近代の船のおもちゃをご紹介します。ブリキのおもちゃが歓迎された明治時代、セルロイドの全盛期である大正から昭和初期、戦前戦中の物資統制時代、そして戦後のブリキやプラスチック時代。それぞれに時代に作られ、子ども達の心をとらえた近代の船のおもちゃの中から、昭和時代の懐かしい資料を選んで展示します。

 郷土玩具の薫りを残す昭和初期の屋形船や木船、昭和時代を通じて縁日の人気ものだったポンポン船、ゼンマイ仕掛けで走るモーターボートなど、子ども時代の思い出につながる船の玩具をお楽しみ下さい。

ブリキのポンポン船(1960年代)

*世界の水辺の動物おもちゃ

 世界に動物の玩具は数知れず作られていますが、その中で、亀や蛙、魚、ワニ…などは、子どもたちに人気の高い題材です。ここでは、素朴な民芸玩具とトイ・メーカーのデザイン玩具の中から、ユニークな色と形をもった水辺の生きものを選んでご紹介します。

 魚のデザインは、キリスト教世界では信仰のシンボルとして、ヒンズー教世界では神の化身として、アジアでは豊かさを運ぶものとして、遠い昔から愛されてきました。「魚」をめぐる造形的な伝統は、玩具の中にも息づいています。

水辺の動物の玩具 展示風景


<会期中の催事>
夏休みおもしろおもちゃ教室ー世界の乗り物玩具を題材に―
   日時=7月23日(金)・8月4日(水)・11日(水)・26日(木)

<同時開催の企画展>
夏の特別展*2010「世界乗りもの玩具博覧会Ⅱ~空と陸の乗りもの~」

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