日本玩具博物館 - Japan Toy Musuem -

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展示・イベント案内

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企画展

冬の特別陳列 「ねずみのおもちゃ」

会期
2019年11月16日(土) 2020年2月18日(火)
会場
2号館

「十二支」は、動物で時刻や方角、あるいは年月を表わす考え方として古代中国から伝わったものですが、長い歴史を経て日本人の暮らしに深く根を下ろし、庶民の間でも親しまれてきた民間信仰です。例えば、生まれ年にあたる動物の性質がその人の性格や運勢などに関係するという信仰、自分の干支に因んだ動物をお守りにする習俗などがあります。日本の郷土玩具はこれらを母体として生まれた庶民的な文化財です。

展示風景

2020年の干支「子(=ねずみ)」は、その繁殖力の強さから増大し、繁栄することの象徴と考えられ、郷土玩具にも数多くの題材を提供してきました。各地のねずみの郷土玩具を集めてみると、ねずみだけの造形より、様々な植物や器物と組み合わせて、その性格が表現されるものが多いことに気づかされます。例えば、蕪(かぶら)、唐辛子(とうがらし)、米俵、千両箱、巾着、小槌…⋯など。またねずみは大黒の使いであることから、ねずみに乗る大黒や、大黒神の象徴である米俵や小槌との組み合わせも目立ちます。

本展では、2020年の干支を祝い、子(ねずみ)の代表的な郷土玩具を造形の特徴に注目してご紹介します。

展示総数 約100点


<ねずみとの気になる組み合わせ①>

唐辛子・蕪とねずみ

伏見土人形・唐辛子ねずみ(京都府京都市/昭和40年代)

唐辛子は赤い実をたくさん実らせ、蕪(かぶ)は地中の茎が膨らんで白く大きく育ちます。多産なねずみと唐辛子を組み合わせることで、子孫繁栄を願い、蕪は、発音が同じ株(かぶ)とかけて、「株がねずみのように増える」まじないと考えられてきました。

<ねずみとの気になる組み合わせ②

米俵・小槌・福袋とねずみ

小幡土人形・小槌のりねずみ(滋賀県東近江市/昭和40年代)

打ち振れば願いがかなう小槌、そして福袋、米俵も大黒神の持ち物であることから、農作物の実りや富を司る大黒神を象徴しています。大黒神とともに多産なねずみにあやかって、米俵の中身が増えること、すなわち豊作を願った造形と考えられます。

<ねずみとの気になる組み合わせ③>

巾着・千両箱とねずみ

佐土原土人形・大黒ねずみ(宮崎県宮崎市/平成10年代)

ねずみが増えていくように、千両箱や巾着の中身が増えますように、というまじないを表わす造形です。また、「おむすびころりん」や「鼠の浄土」など昔話のねずみが、人間から餅や握り飯や米粒、豆、団子などをもらったお礼に小判や財宝をくれる存在として登場することから、豊かな暮らしを象徴する組み合わせとも考えられます。


<ねずみとの気になる組み合わせ③>

大黒の使い

鶴岡土人形・ねずみのり大黒/明治末期

大黒は、日本では豊穣の神として、また七福神の一人としても人気です。もともとはインド由来の闇黒神(マハーカーラ)が密教とともに伝来し、古事記に登場する大国主神(おおくにぬしのかみ)と融合していったと考えられます。ねずみと組み合わされる理由は大国主神がねずみに助けられた神話から、ねずみを神の使いとする説、大黒神を表わす「黒」が方角で言えば北で、ねずみ(=子)が北を表わすことと結びつけられたという説、ねずみを財福の神様の使いとしたという説、米を食べるねずみを監視しているという説…と様々です。

  

動くねずみのおもちゃ

まわりねずみ(大阪府大阪市/昭和初期

ねずみの郷土玩具の中には、竹の弾力や糸繰りを活用した仕掛け玩具も数多く見られます。米を食べるねずみ、くるくる動き回るねずみ、猫を怖がるねずみなど、ねずみの愛らしい仕草を題材にして作られたねずみの玩具をご紹介します。


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        2020年企画展「日本の近代玩具のあゆみ*2~昭和・平成~」
        2020年小テーマ展「草花遊びの世界」