「世界のクリスマス」 | 日本玩具博物館

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特別展

冬の特別展 「世界のクリスマス」

会期
2017年11月3日(金) 2018年1月21日(日)
会場
6号館

古代ヨーロッパでは、太陽が力を失い、地上の生命力が衰えた冬枯れの季節に、暖かい光の復活を願い、新しい年の豊作を祈る祭を行っていました。これは冬至祭や収穫祭として今も各地に伝えられていますが、キリスト降誕の祝日は、太陽の復活を祝い、豊作を願うという土着の信仰をとり込むことを通して、大きな行事へと発展していったものと思われます。クリスマス飾りに登場するキャンドルの灯や光を象徴する造形の美しさ、また麦わらや木の実などの豊かな実りを表現するオーナメント(=装飾)の多様性からも、クリスマスがもつ意味をうかがい知ることが出来ます。またこの時期、世界の各地を、サンタクロースをはじめ、プレゼントを持った様々な姿の贈り物配達人が訪れ、新しい年の豊作と幸せをもたらしていくのですが、それらは好んで人形化され、クリスマスという冬の祭礼の喜びと意味深さを伝えています。

クリスマスの行事はキリスト教の普及とともに世界各地へ拡がり、それぞれの地の信仰や冬の習俗と結びついて定着すると、アジアでもアフリカでもユニークなクリスマス文化が花開きました。

恒例となった当館のクリスマス展は、クリスマス飾りを通して世界各地のクリスマス風景を描き、この行事の意味を探る試みです。本年はテーマを二つ設けました。<世界のクリスマス造形>では、「待降節のカレンダー」「クリスマス菓子とオーナメント」「自然素材のオーナメント」「キリスト降誕人形」「キャンドルスタンドと光の造形材のオーナメント」「贈り物配達人」の六つの項目でクリスマス造形の意味を探ります。また、<ヨーロッパのクリスマス>では、「北欧」「中欧」「南欧」「東欧」の四つの地域に分けて、本場ヨーロッパの伝統的なクリスマスオーナメントをご紹介します。

世界各地の民族色豊かなクリスマス飾りが一堂に――。遠い国々のクリスマスに思いをはせながら、クリスマス行事の奥行の深さと文化の豊かさを感じていただければ幸いです。

展示総数 世界55ヶ国1000点

      

世界のクリスマス造形

クリスマスの造形1・待降節のカレンダー

クリスマス(降誕節)を迎える準備期間を待降節(アドベント)と呼びます。キリスト教世界の家庭では緑の葉で輪を作り、等間隔に4本のキャンドルを立てると、それを天井からつるします。「アドベント・クランツ」あるいは「アドベント・ キャンドル」と呼ばれるもので、日曜日ごとに1本ずつ灯を点し、その灯の下で家族揃ってクリスマス・キャロルが歌われるのです。またドイツやデンマークでは、12月になると、子ども部屋に「アドベント・カレンダー」が飾られます。クリスマスの風景が描かれた絵の中に、1から24までの数字がついた窓があり、12月1日から毎朝、窓をあけていきます。めくる窓ごとに楽しい絵が描かれていて、クリスマスを待つ気持ちを高めてくれます。ここでは、クリスマスを待つ楽しみについて、また12月4日の「聖バルバラの日」、6日の「聖ニコラウスの日」、13日の「聖ルチア祭」、21日の「聖トーマスの日」の行事についても紹介します。

アドベントカレンダー

クリスマスの造形2・クリスマス菓子とオーナメント

クリスマスに飾られるオーナメントの中には、ドイツのレープクーヘンやシュプリンゲルレ、ヨーロッパ圏のジンジャークッキーのように、数多くの菓子が登場します。それらの菓子には、生命の源を支える麦はもちろん、薬効のあるスパイスや豊かな実りを象徴する木の実がふんだんに使われています。これらは、冬枯れの季節、私たちが必要とする栄養を考慮した食べ物であると同時に、あの世から戻ってくる祖霊や、土地に眠る霊への捧げ物でもありました。ここでは、チェコの小麦パン細工「ヴィゾ・ヴィーチェ」やセルビアの砂糖菓子のツリー飾り、ドイツの胡桃とプラムの人形「ツッヴェッチゲメンライン」、フランスの公現節の王様ケーキの中の小さな陶器製人形(フェーヴ)などを紹介します。

お菓子のオーナメント

クリスマスの造形3・自然素材のクリスマスオーナメント~収穫感謝の心~

クリスマスオーナメントの中には、スウェーデンやフィンランド、ドイツ、スイスをはじめ、各地に見られる麦わら細工の飾り、ハンガリーやスロバキアなどに見られるキビガラ(トウモロコシの皮)細工の飾りなど、収穫された穀物を象徴する造形も目立ちます。また、林檎や胡桃などの木の実をテーマにしたもの、さらに、木の実を生み出す木々の“丸太”を象徴するオーナメントも各地で作られています。これらには、一年の実りを感謝し、来る年の豊かさを願う心が込められたものと考えられます。

自然素材~麦わら・きびがら・木の実~のオーナメント

クリスマスの造形4・キリスト降誕人形~生命をいつくしむ心~

キリスト降誕人形は、中世の宗教熱の中、イタリアで作られ始めた箱庭風のクリスマス飾りです。馬小屋の飼葉桶に誕生したイエス、見守るマリアとヨゼフ、誕生の知らせを聞いてかけつけた羊飼い、東方から捧げ物を持ってやってきた三人の博士など、キリスト降誕の物語を人形によって表現していくものです。人形には作る民族の表情がよく映されています。

イタリアのキリスト降誕人形

クリスマスの造形5・光の造形とキャンドルスタンド~光の復活を祝う心~

北半球において、12月21~22日といえば、太陽の照る時間が一年で最も短い冬至にあたります。冬至に向かって太陽の光は弱くなりますが、この日を過ぎると、日照時間はどんどんとのびていきます。この世に光をもたらす救世主と信じられるキリスト誕生の祝いは、冬至を過ぎて再生した太陽を寿ぎ、春への期待をふくらませる祝日でもありました。クリスマス飾りの中には光を象徴するものが目立ちます。このコーナーでは、光を美しく暖かく見せる工夫に満ちた各地のキャンドルスタンドをはじめ、光をイメージしたオーナメントの色々を展示します。

キャンドルとキャンドルスタンド

クリスマスの造形6・サンタクロースと贈り物配達人~豊かさを祈る心~

サンタクロースは、紀元280年頃、今のトルコに生まれ、のちにキリスト教の司教となった聖ニコラウス(セント・ニコラウス=オランタ語でシンタクラウス=英語でサンタ・クロース)がモデルです。情け深く、貧しい人々を救け、子どもを可愛がったので、子どもや弱者を守る聖人として敬われました。この聖ニコラウスが貧しい人々に贈り物をしたり、困っている人に金貨を授けたりしたという伝説と、遠い昔、冬至の祭に新年の豊かさを祈って、人々が贈り物を交換していた習慣が溶け合って、クリスマスにプレゼントを運ぶサンタクロースの物語が誕生したといわれています。国によってサンタクロースのイメージも様々。ドイツやオーストリアのサンタクロース(ザンクト・ニコラウス)には、生命の死と再生を司る来訪神のイメージがあり、北欧のサンタクロース(ニッセあるいはトムテ)は、人々に豊穣をもたらす自然神のイメージがあります。
トナカイのひく橇にのってやってくる明るくやさしいサンタのイメージは、19世紀にアメリカで形成され、日本のサンタに影響を与えました。

ヨーロッパのクリスマス

北ヨーロッパのクリスマス

冬の間はほとんど陽がのぼらず、雪や氷に閉ざされる北欧にあっては、太陽の復活を願う古い民俗信仰とキリスト教が融合した、「ユール」と呼ばれる独特のクリスマスが祝われます。厳冬、人々は窓辺にキャンドルを点し、暖かで清らかな行事の雰囲気を盛り上げていきます。手工芸が発達した国々とあって、切紙細工や麦わら細工のク飾りが町中にあふれ、トムテやニッセという名のヤギを連れた妖精たちが活躍する北欧のクリスマスは、幻想的な雰囲気に満ちています。 

北欧クリスマス 

東ヨーロッパのクリスマス

東欧では、冬至祭や収穫祭に結びついた民族色豊かなクリマスが祝われています。チェコやスロバキア、ハンガリー、セルビア、リトビアの麦わらやキビガラ(トウモロコシの皮)、木の実細工のツリー飾りには、収穫祭との深い結びつきが感じられます。
小麦パンをかたく焼き締めて作られるチェコのオーナメントや日本の正月の注連飾りを想わせるセルビア地方の麦わらとオークを束ねたオーナメント“パドニャック”などには、キリスト教が根付く以前からの民間信仰が表現されているようです。また、木綿レースや硝子細工のツリー飾りは、東欧伝統工芸の素晴らしさを伝えています。

東欧のクリスマス 麦わら細工のツリー飾り・きびがら細工のベトレム(チェコ)

中央ヨーロッパのクリスマス

ドイツ、オーストリアなど中央ヨーロッパにおいても、待降節の平均日照時間は1~2時間。冬枯れの町には寂しさを払うようにモミの木の緑とキャンドルの光があふれます。町々の広場にはクリスマス飾りを売るマーケットがたち並び、細工をこらしたオーナメントの数々が人々を温かく出迎えます。きらきら輝く麦わらの窓飾りや経木のツリー飾りも「光」を表現したものです。

中欧のクリスマス

ドイツのクリスマス

ドイツのクリスマスにプレゼントを運ぶのは、St.ニコラウスやヴァイナッハマンと呼ばれる聖人ですが、地域によっては鬼を従えてやってきます。クリスマスツリーの本場とあって、豊富な造形が見られる地域です。クルミ割り人形や煙だし人形、“光のピラミッド”の名で親しまれるユニークなキャンドルスタンド、キリスト降誕人形“クリッペ”など、“おもちゃの国”ならではのクリスマス飾りを一堂に紹介します。

ドイツ・エルツゲビルゲ地方のクリスマス玩具

南ヨーロッパのクリスマス

イタリアをはじめとする南欧のクリスマスには、“サトゥルナーリア”  と呼ばれる賑やかな収穫祭の薫りが残されているといいます。また、カトリックが力をもつイタリアは、キリスト降誕人形の発祥した地であり、教育的な意味の加わったクリスマス玩具を見ることができます。
イタリアやポルトガルからは“プレゼピオ”、スペイン から“べレーン”、フランスからは“クレーシュ”と呼ばれるキリスト降誕人形を展示します。

南欧のクリスマス アルザス地方のクリスマスボール・公現節のフェーヴ(フランス)


<会期中の催事>
解説会
   ●日時=11月23日(木/祝)・12月3日(日)・17日(日)・23日(土/祝)
       ※各回 14:30~
ワークショップ ツリー飾り「マツカサの妖精」を作ろう!
   日時=12月17日(日) 13:30~14:20
絵本朗読会
   日時=12月23日(土/祝) 13:30~/15:10~


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